仕事を続ける母は悪なのか、私がライフイベントを迎えても働き続けるワケ

あなたは何のために働いていますか?

好きな仕事だから、お金のため、スキルを磨くため、将来のため、キャリアを磨くため・・・。
様々な理由があります。その理由に正解も不正解もありません。ただ共通することは、「自分のため」に働いているということ。

かくいう私もシステムエンジニアという男性社会の中で1人働き続けてきました。今回はそんな私自身の体験をもとに、ライフイベントを迎えた途端に襲ってくるキャリアを続けることへの不安と、それでも仕事を続けたワケをお話しします。

働き続けた「私」のワークスタイル

無我夢中で真っ直ぐに突き進んだ新人期

私が新卒で入社した会社では、右も左もわからない中、とにかく何でもやりました。

日帰りで出張へ行ったり、長期間の海外出張に急にアサインされたりすることもありましたが、フットワーク軽くなんでも挑戦しました。それは、毎日が新しいことにあふれていて、新鮮で刺激的だったからです。

「プライベート<仕事」のワークバランスでしたが、全く不満もなく、むしろ楽しかったです。しかし多くの女性が言うように、若いからこそできた働き方でした。母になったい今、同じ環境におかれたら同じようにはできません。ただ仕事をする上での土台となっています。

結婚しても続いたの仕事の自立期

憧れの人や、具体的な目標ができるようになったのは、社会人2~3年目のことでした。その時期は、後輩もでき、社会人としての自覚もしっかりしてきた頃です。

先の作業量も見積もることができたので、定時で帰る日もできたし、プライベートも充実させる余裕もでてきました。その代わり納期前に徹夜作業、休日出社、仕事にも責任を持って取り組むことができ、「やりがい」を知り、実感できるようになってきたのもようやく2〜3年目でした。 私の場合は、結婚しても変わることなく、この働き方を続けていました。

突然襲ってきたライフイベントという女性としての不安

私は、30歳目前に結婚、翌年に第一子を出産し、1歳の誕生日を迎えた翌月から仕事に復帰しました。妊娠したこと自体に関しては、「いつかは母になりたい」と思っていたので、至上の喜びでした。

ただそれと同時に、出産後のことを考えると、とても不安でした。

「今と同じように働けるのだろうか」
「待機児童のニュースも目にしていたので、私の住んでいる地域は大丈夫だろうか、いつから働けるのだろうか」
「同期に遅れをとってしまう。今までのキャリアはどうなるの」
「仕事続けてもいいのか。辞めるのか」

考え始めると、大きくなるお腹に思いを馳せる反面、自分の今後に対する不安でいっぱいになりました。

特に私の場合、職場は男性率が高く、出産、育児のローモデルになる人がいなかったことも大きく影響し、マイナスな思考ばかり堂々巡りで答えのない毎日でした。

漠然とした不安を解決するために、「どうして仕事をしているのだろうか、どうして続けたいのか」を自分に聞く時間を設けることにしました。 独立やフリーに転身して自宅で作業をすることや「ノマドワーク※」と呼ばれる働き方をするのか、このまま会社員として働き続けて、育児休暇を取るか取らないか、取るならばいつまでなのか、また時短勤務をするかしないかなど、働き方の選択肢を意外にも沢山持っていることに少しは気持ちを救われました。

また今では、保育園はもちろん、アフタースクール(保育園や学校から習い事の送迎や自宅への送迎をしてくれるサービス、夕飯のサービスや独自のカリキュラムも多彩な施設)、ベビーシッター、家事代行など多様なサポートが日本でも充実してきています。

そうして私は、”どんな母になりたいか”を1番に考え、「働く母の背中を見せ、将来子どもと対等でありたい」という結論にたどり着きました。

※ノマドワークはノートパソコン、スマートフォンを使い、オフィス以外のさまざまな場所で仕事をする働き方

私が仕事を続けるワケ

ビジネスマン、妻、母の3足のわらじを履くことは誰にとっても簡単なことではありません。

私自身がたどり着いた働き続けるわけは、「自分自身のため」です。

生まれた我が子は何もできません。とても頼りない細い手足、か細い泣き声に母として最大限のことをしてやりたいと誰しもが思います。もちろん赤ちゃんは何もかも誰かがお世話をしなくてはいけません。

でもそれは永遠ではありません。当然、歩くようになり、話すようになり、1人の人間として考え成長していきます。すぐに彼らの世界ができて、親である私たちはサポート役に回ります。そして、いつか彼らも仕事を持つ日が来ます。その時、私はどんな母でありたいですか? 子どもにどんな私をみせたいですか?

そう考えたときに、私は1人の人間として自立し、輝いている自分でいようと思いました。自立することは、やはり仕事を持つということ。 パメラ・ドラッカーーマン著の「フランス人は子どもにふりまわされない」の一節で、「あなたがこどもより幸せになっていいのは、本当にそう!だからといってあなたが、悪い母という意味ではありません。あなたはあなた自身の要求と気質を持つ、子どもとは別の人間だということ。」

あなた自身が生きたい生き方をしているかどうかで子どもとの向き合い方が変わるという、つまり自分自身に満足できていると余裕が生まれると書いてありました。時間的な余裕はなくなるかもしれませんが、精神的な余裕の方が、子どもに与える影響が大きいのです。

働きたいから母になることを諦めるべきか?もちろん答えはNOです。

仕事を辞めないとダメな母か?もちろん答えはNOです。

あなたがあなたらしく仕事をし、あなたらしく母をすることは、当たり前なことです。 その時々のどんな自分でいたいかを考えつつ、柔軟にあなたの答えをだしていけばいいのではないでしょうか。