東加菜さん|パートナーの海外転勤に伴うキャリアチェンジ。2度のキャリア中断をしなやかに乗り越えキャリアを拓く秘訣とは。

家族ができると、妻として、母として、ライフステージの過程で予期せぬキャリアチェンジを迫られることがあります。「自分ばかりがキャリアを犠牲にしている」と感じることもあるかもしれません。パートナーの海外赴任に伴い、2度のキャリア中断を余儀なくされても、しなやかにキャリアを切り拓いてきたmichinaru株式会社 広報の東さんにお話を聞きました。

ご経歴 

千葉県印西市出身/ホーチミン在住
2006年 リンクアンドモチベーションに入社
2015年 結婚・パートナーの海外赴任に伴い退職
     オーストラリア(シドニー)へ移住
2016年 長男を出産
2017年 日本帰国後、リンクアンドモチベーションに復職
2022年 パートナーの海外赴任に伴い、2度目の海外移住でベトナム(ホーチミン)へ
現在は、成熟企業の事業創造支援を行うmichnaru株式会社で広報・マーケティングを担当

 

転勤族のパートナーをもつ女性が抱える悩み

「キャリア」か「家族」か迫られる二者択一の決断

大学卒業後、人事コンサルティング会社のリンクアンドモチベーションに入社をしました。入社後は、企業研修の運営、同グループ会社の人事・広報、新規事業の立ち上げ、グローバル部門でのプロジェクトマネジメントなどさまざまな経験を積ませてもらいました。 若手の頃は「働き方改革」という概念もなかった時代。終電までがむしゃらに働くこともありましたが、尊敬する上司や信頼する仲間との事業・組織創りに非常にやりがいを感じていました。

30歳で結婚してすぐに、パートナーである夫がオーストラリアのシドニーへ海外赴任することが決まりました。当時は、まだリモートワークという選択肢がなく「仕事を辞めてシドニーに行く」か「日本でのキャリアを続ける」という選択を迫られました。

今考えればもっと柔軟に考えられることも当時の私にとっては、仕事 ≒ アイデンティティそのもので、選んでも選べない究極の選択だったんです。そんな答えの出ないモヤモヤを抱えた姿を見かね、先輩がかけてくれた「また戻ってくればいいよ」という言葉に背中を押してもらい、パートナーの赴任から遅れること半年、オーストラリアに渡ることを決断しました。 でも正直なところ、すぐにスパッと切り替えられた訳でもなく。シドニーに移住してからも「もう自分は社会や会社から必要とされないんじゃないか」と悲観的になったり、夫に対しても「私が譲歩してあげた」というブラックな感情(笑)が湧き出てきたりしていました。

暗黒時代、行動することで「未知なる道が成る」

そんなモヤモヤを抱えた中でも「日本に戻った際に活かせるスキルや経験を得たい」と語学習得に励んだり、人材採用や派遣を行うローカル企業でインターンシップをさせてもらいキャリアをつなぎました。カタコトのビジネス英語で本当に仕事ができるのか、最初は不安や怖さもありましたが、ローカルスタッフとのコミュニケーションや協働の経験をさせてもらったことが、日本帰国後の「グローバルHR(グローバル人材育成)」へのキャリアにもつながっています。まさにスティーブ・ジョブズの言う「コネクティング ザ ドッツ」ですよね。自分では暗黒時代だと思っていましたが、先が見えない中でも行動することで「未知なる道が成る」ことを教えてくれた、かけがえのない期間だったと、今は捉え直すことができています。過去抱いていた行き場のない喪失感や虚無感も、やっと成仏されました(笑)

その後、1年半ほどでシドニーから大阪に戻りました。2022年からは、再び夫の海外転勤でベトナムのホーチミンへ。今も3〜5年に一度のスパンで生活拠点が変わるヤドカリ(転勤)です。これまで転居に伴うキャリアチェンジや生活変化に戸惑いや苛立ちを感じたことは数知れずですが(苦笑)、時代の変化やIT技術の進歩などもあり、今では住まう場所にとらわれず、家族のライフステージやキャリアに合わせたノマドライフを少しずつ楽しめるようになってきました。現在は、成熟企業の事業創造支援を行うmichinaru株式会社で、フルリモートで、広報・マーケティングを担当しています。

女性がしなやかにキャリアを切り拓くコツ

女性は特に、ライフステージの各局面で予期せぬキャリアチェンジを迫られることがありますよね。キャリアが中断してしまう心配から、闇雲に色々なことに手をつけて頑張りすぎてしまったり、「自分がやりたいことって、なんだったっけ?」と分からなくなったりすることもあると思います。私自身がまさにそんな一人でした。

プランドハップンスタンス(Planned Happenstance)という考え方

そんな折、キャリアコンサルタントの先輩に教えてもらい、大切にしてきたのが「プランドハップンスタンス」と言う考え方です。スタンフォード大学のクランボルツ教授によって提唱された理論で「キャリアというものは、偶然の要素によって左右されるものが多く、偶然に対してポジティブなスタンスでいる方がキャリアアップにつながる」というものです。「キャリアデザイン」と「キャリアドリフト」なんて言われることもありますが、ゴールから逆算してキャリアをデザインすることと同じくらい、川下りのように、自然と切り開かれていくキャリアを楽しむことも重要だと思うんです。

「ORではなくAND」というポリシー

もう一つ大切にしているのが、「ORではなくAND」というポリシーです。現在、所属するmichinaruのカンパニーポリシーのひとつでもあり、皆で大切にしています。個人的な経験でいえば、シドニー移住時の苦渋の選択をして以来、どうしたら両方実現することができるだろう?と考えるようになったのが大きいかもしれません。一昨年、2度目の海外移住が決定した際には「キャリアも家族も両方取りたい」と思ったんですよね。当時、勤めていた企業と海外からフルリモートで働ける条件交渉をしたり、フルリモートでもOKだから一緒に会社創りをしない?と声をかけて下さる方々のお陰で、今こうして海外からでも仕事をすることができています。

「ワークライフブレンド」な日々を楽しむ

仕事と子育ての両立は、多くの女性にとって大きな関心事の一つですよね。以前に読んだ記事で「ワークライフブレンド」という言葉を知り、日々の生活の中で大切にしています。在宅で仕事をする人も増えた今、ここまでが「子育て」、ここからは「仕事」と線引きすることって難しかったり。私の場合、全部がごちゃ混ぜのワークライフメシーになってしまうこともありますが(笑)、仕事も子育ても趣味も学びもひっくるめてブレンディな日々を楽しみたいと思っています。その方が味わい深くて美味しいんじゃないかって。

昨年の夏に息子が「自由研究に、手裏剣を売ってみたい」と言い出したんです。ベトナムで手裏剣を売るとして「誰なら手裏剣に興味をもってくれそう?」「どこでなら売れると思う?」「値段はいくらがいいかね〜」とビジネスプランを考えてアクションする息子の姿から、仕事でも活かせるスタンスやマインドが沢山あるなと思ったんです。実際に、老若男女、色々な国の方が息子の作った手裏剣を手にとってくださって。息子にとっても私にとっても最高の夏の思い出になりました。

変化の激しい、不確実性の高いと言われて久しい今、変化を楽しむことや偶然性を味方につけることも、歴としたこれからの時代をしなやかに生きる大切なマインド・スキルかもしれません。私自身が試行錯誤の真っ只中ですが、変化を楽しみながらクロスボーダーな働き方や生き方を、みなさんと共に模索していきけたら嬉しいです。


 

東加菜(あずまかな) michinaru株式会社 広報

2006年、リンクアンドモチベーション入社。大手企業の研修事業に携わったのち、グループ内子会社リンクイベントプロデュースの創業メンバーとして自社のオウンドメディア立ち上げやメディアリレーション、採用責任者を担う。2015年、結婚・オーストラリアへの移住を機に退職。海外での子育てを経て、リンクアンドモチベーションにアルムナイ採用で復職。関西拠点での新規事業立ち上げやグローバルHRイベントのプロジェクト責任者として経験を積む。2022年、パートナーの海外赴任に伴い、家族とともに渡越。現在は、成熟企業の新規事業支援を行うmichinaru株式会社で広報・マーケティング担当。仕事終わりに仲間と飲むビールが何よりも好き。


現在、michinaruでは、一緒に事業・組織創りに挑戦する仲間を募集しています。
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