木本美紅さん|ココが分かれ目! 広報のスペシャリストが教える〝デキる広報〟になれる人・なれない人<前編>

20代の「働きたい部署」第1位はズバリ、広報(※) 特に女性の人気が高く、全回答の約1/4を占めています。今回は、そんな広報とPRのスペシャリスト・木本美紅さんに、広報の仕事で大切なことや心構えについてお話を伺いました。広報の仕事に就きたい方や広報のスキルアップを目指す方、必見です。※オリコン・モニターリサーチ(2007年4月26日~5月1日)


広報の仕事で一番重要なのはコミュニケーション

お仕事の内容を具体的に教えてください。

まだ広報部門のないベンチャー企業やスタートアップ企業の広報・PR活動と、広報部門の立ち上げ支援が中心です。

クライアント企業やその製品が取材されるために各媒体に働きかける広報活動のほか、取材対応も。広報部門のないクライアントに取材が入れば代表と同席し、私が広報担当として対応。広報担当がいる場合も同席をするようにしています。

また、クライアントの取材記事や商品情報の記事をチェックしてまとめ、クライアントに送るのも毎朝の大切な仕事。会社員で広報担当だった時は、そのために朝起きるとすぐに出勤していました。

記者さんとのコミュニケーションは、どのようにとっていらっしゃるのでしょうか?

マスコミ訪問にもよく行きますし、記者さんと食事に行くことも多いです。ランチのほか夜の会食も。その時には「最近はどんなネタを追いかけていますか?」と必ず聞くようにしています。「その内容なら私のクライアントが出せます!」となるのが理想の流れですが、そううまく時ばかりではありません(笑)

記者さんの異動の情報も大切です。広報担当は、その情報をつかめるかどうかが結構大きな意味をもちます。担当が変われば当然、扱うネタも変わりますから。仕事が終わった後なのでわりとフランクに話ができ、記者さんとの良好な関係性の構築にも情報収集にも、とても有意義です。

ご自分のどんなところが広報担当向きだったと思いますか?

コミュニケーションはもともと好きでした。皆さんの前に出て話すのは苦手でしたが、1対1で話すことが好きで。

広報の前は秘書をしていたので 相手が何を考えているか、どういうことを求めているのかをキャッチアップするということに関しては、得意というか慣れていたことも大きいと思います。

同じように、記者さんが何を求めているのか、相手の話に耳を傾け、そこに何かできるのかを考えることも好きです。

企業の広報で大切にしているのは、どのようなことでしょうか?

企業の代表とのコミュニケーションです。代表の求めていることは何か、まず、そこをじっくりヒアリングします。

あとは〝想い〟です。どんな想いでこの会社を立ち上げたのか。そこに「社会貢献したい」などの想いもあると、よりアピールしやすくなるのです。

ひととおりヒアリングしたら、自分が応援したくなるようなストーリーを作ります。やはり、応援したいと思えない企業さんはPRできないので。「この社長だったら応援したい!」という気持ちが記者さんにも伝わるのです。

もちろん最初だけでなくそれ以降も、しっかりコミュニケーションを取る、話し合う、向き合うことが大切。代表とのコミュニケーションがきちんと取れることが、効果的な広報活動ができるかどうかのポイントになります。

広報の極意は「相手に興味をもつ」と「負けない心」

企業広報の心得を教えてください。

広報の仕事は自分たちの会社や商品、サービスなどを売り込むことが当然メインになるのですが、媒体がそれを求めていなければ、その情報はまったくの無意味。記者さんにとって何の価値もありません。

媒体は何を求めていて、それはどういうコーナーで、どんなことだったら取り上げられるのか。そこをしっかり考えることが重要です。

媒体にもっと興味をもって、まずはどんな媒体なのか勉強してほしいと思います。どんなコーナーがあるのか勉強しないで「取材してください」「記事にしてください」と発信してもだめ。学ぼうとする姿勢と〝相手〟に興味をもつこと。これは広報に限らず、どんな仕事でも同じだと思います。

企業広報時代からずっと続けているのが、取材していただいた記事が出たら、すぐに「読みました」とメールを打つことです。やはりそれも、相手に「興味を持っています」というアプローチの一つではないでしょうか。

もう一つ大切なのが、負けない心。私は企業広報時代に「広報、向いてないんじゃない?」と言われたことがあります。泣きそうになりましたが、「負けないぞ!」「強く生きよう!」と、折れない気持ちをもち続けました。やはり、それは持っていないと。

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