斉藤裕子さん|マネージャー職と子育ての葛藤と両立!制度を有効活用するリクルートの“先人”

2015年より「働き方変革」を推し進めているリクルートグループ。今回は同グループの株式会社リクルートマーケティングパートナーズ、広報のグループマネージャーを務める斉藤裕子氏に「時間が制約される中でマネージャーとして働く葛藤と考え方」についてお話を伺いました。

社員の生産性を追求する「リクルートマーケティングパートナーズ」

リクルートグループでは2015年より、働き方変革を推進しています。その中でもリクルートマーケティングパートナーズでは「新たな価値創造をするための生産性向上」を目的にして、遠隔で業務を行うリモートワークや、始業・終業を選択できるフレックスタイムなど多様な働き方を後押しする制度を導入しています。

私が妊娠したのは新卒入社1年目。当時は入社早々産休に入ることに対する自身の焦りもあり、なるべく早いタイミングで復職したいと思っていました。しかし、0歳児を預かってくれる保育園はなかなか見つからず、わらにもすがる思いで利用したのが社内保育園でした。社内保育園は社員の声から制度として誕生したもので、生後57日目から公立保育園に入るまでの2年間、預けることができました。

いまある制度の多くは、生産的に働く上で必要不可欠な要素として、会社が導入したものです。その多くが現場の声を発端に生まれており、現場の社員の声を大事にする、非常にリクルートらしい取り組みだと感じます。一方で、環境を成果に結び付けられるかどうかは自己責任。社員には環境が与えられるのと同時に、自分をきちんとマネジメントすることが求められるともいえます。

経験した「変化する働き方」への葛藤


マネージャーの仕事の多くは物事に対する判断・決断をすること。そういう意味では、時間の長さより質が求められますし、スマホ一台でどこでも仕事ができると考えています。

そんな中でもマネージャーになった当初は葛藤がありました。判断・決断をすることが仕事である中で、私が保育園のお迎えなどで早く終業してしまうことにより、メンバーのアウトプットに対して即座にフィードバックできないという問題が発生したのです。私の働き方が制約となり、メンバーの仕事が滞ってしまうことに責任を感じました。現物を見ないと判断できないものも多いため、「退社してもいつでも連絡していいよ」とメンバーに声をかけることで乗り切っていました。しかし、家でもスマホを見る時間が長くなるなど、ライフにおいても、ワークにおいても、優先順位がつかない葛藤に悩んだ時期もありましたし、働く環境と子どもの発育に応じて常に悩みは変わっていきます。

今では子供も大きくなり時間のコントロールもある程度はできるようになりましたが、いかに制度が整っていても、上手く活用できなければ表面的なものになってしまうと、自身の経験からも感じています。逆に上手く活用できれば働くうえで大きな武器になると考えられるようになってきました。

職場の「先人」になる

会社の制度も風土も整っていない、そんな環境に身を置くワーキングマザーは世の中に数多くいます。

少し壮大な話になりますが、私は今いる環境に対して「先人がいて“拓けた道”」だと思うようにしています。何事も最初の“誰か”が踏ん張り歴史を築いたから、今があると思っています。

私が子どもを産んだ当時は、社内保育園の設立など子育てしながら働く選択肢が生まれ始めた時期でした。と、捉えると結果的に私自身も社内での“先人”として、今の環境構築に少し貢献できたのかもしれません。「育児しながら働く」人の増加とともに、数十年前より働きやすい時代に近づいていると感じます。ひとりひとりが声をあげチャレンジし、何かの先人として道を切り拓いていく、それが結果的にワーキングマザーを含めた多様な働き方につながっていくのではと思います。