令和の子育て世代に大切な「私らしい子育て」の見つけ方

※本コラムは、2022 年11月25日(金)に開催をした無料オンラインセミナー「私らしい子育ての見つけ方」の内容を一部抜粋してお伝えします。セミナーでは、これまで1万人以上のパパママのお悩みを解決してきた「親のがっこう(https://www.oyanogakkou.jp/)」代表の上条厚子さんにお話をいただきました。

令和の子育て世代の今

 ベネッセ教育総合研究所によると夫婦の愛情曲線(パートナーのことを本当に愛していると実感している人)の割合は、妊娠期の74.3%(男女共に)に対して、子供が2歳を迎える時期には、男性は、2人に1人(51.7%)、女性に至っては10人に3人(34.0%)という結果になっています。

二極化が進む令和の子育て夫婦の関係

 妊娠・出産・子育て期における気持ちの変化は、どのようにして起こるのでしょうか。夫婦二人三脚での子育てを楽しみにする妊娠・出産期を経て、子育てに追われて余裕がなくなってしまう子育て期の夫婦の関係は、二極化の傾向にあります。下記は、子育て期の夫婦の状況や関係性を表したものです。夫婦揃って子育てを楽しむ様子や子供が巣立った後の仲睦まじい関係がみてとれるBの「絆ルート」に対して、Aの「溝ルート」では、夫婦の対立や関係性に溝がある様子が見てとれるでしょう。日本では、10組に7組の夫婦が何らかの理由からAの“溝ルート”に移行してしまう現状があります。また、これは子供の成長とともに解決される問題であると考える夫婦やカップルが多いですが、子供の成長や子供が巣立った後の夫婦関係にも影響するとても重要な問題なのです。

 このような状況に陥ってしまう最大の要因は、育児による生活の変化によって、お互いに余裕がなくなることです。特に24時間赤ちゃんと一緒に過ごす子育て主担当とそうでないパートナーの時間的な格差が要因となるケースが多く見られます。このような状況が続くことで、子育ての主担当であるママもしくはパパには「言わなくても察して動いて欲しい」といった感情が生まれ、それが日々の夫婦の関係にも影響を与えるのです。
 日本の子育において、長年に渡り育児ストレスNo.1として挙げられるのが、子育てを共にするパートナーに対して「言わなくても察して動いてほしい」や「指示待ちでなくて自主的に育児をしてほしい」という不満です。このような状況や状態が続くことで、お互いの意に反して、夫婦の関係は「溝ルート」という深みにハマってしまうのです。

イライラやモヤモヤする感情の根本を探る

 では、産後あるあるとしてよく語られるこの問題をしょうがないこととして済ませるのではなく、夫婦の絆をより強く、太いものにする契機にするにはどうしたら良いのでしょうか。
「泣くとは聞いていたけどここまでとは思っていなかった」や「1年頑張ったら今度はイヤイヤ期が到来…」など、子供の成長と共に新たなイライラや壁が出現し、子育ての悩みが一向に解決しないという話が産後・育児世代のママパパから多く寄せられます。以下は、パートナーや子供に対して、産後ママが抱く「イライラやモヤモヤ」をまとめたものです。みなさんはいくつ当てはまりますか?これらの感情の根本を探ることが、自分らしい子育てや夫婦の関係をより良いものにするためにとても大切なステップです。

自分らしい育児の鍵は、「私+わたしたち」という視点

 ここからは、「自分らしい育児をしていくために」大切な視点を3つご紹介します。一つ目は、「私+わたしたち(ママ・妻)」という視点です。結婚をして妻となり、出産して母になると、一人の人間としての感情や存在をおざなりにしがちです。しかし、ここで大切なことは「わたしたち≠同じ船にのる」ではなく「わたしたち=同じ方向へ進む」というイメージを持ち、共有することです。特に、産む性である女性は、自分という船を乗り捨てて、子供ファーストになりすぎてしまう傾向にあります。親も子も個々人が自分の船に乗ったまま、ワンチームとして同じ目的地を目指すこと。これこそが、ご自身の幸せにとってはもちろん、子供の自己肯定感やレジリエンスを育むという点でも重要になります。

パートナーと家族の理想像や存在意義について話してみよう

 上記のイメージを前提に、パートナーや家族と目的地について話し合ってみましょう。何となく「南の方向に進もう」としているんだなという感覚はあっても「旭山動物園に行こう」と具体的に目的地を定めている方は少ないのではないでしょうか。ここでいう目的地とは、家族ワンチームとしてのミッション(家族の理想像)やビジョン(家族の存在意義)、バリュー(チームとしてのルール)を定めるという意味です。私たちはどんな家族でいたいのか?パートナーにとってどんな存在でありたいのか?どんな役割を果たしていきたいのか?を話し合うことで、チームとしての信頼や結束も高まっていくでしょう。
 「親のがっこう」では、夫婦や家族のミッション・ビジョンについて対話するワークショップなども実施をしています。日頃、子供の送迎や家事分担に関して、意見の不一致や小競り合いが起こるなどの話も伺いますが、同じ目的を共有し合うことで夫婦の関係や役割分担が円滑に進むとともにチームとしての結束や絆も深まると思います。ぜひパートナーと自分達の目指すミッションやビジョンについて話し合ってみてください。

自分を満たす「シャンパンタワーの法則」

 自分らしい育児を見つけるための2つ目のヒントは、「シャンパンタワーの法則」です。みなさんは「シャンパンタワーの法則」をご存じですか。自分の体は一つしかありません。一人の大人としてI(自分)のグラスが満たされていることが重要です。育児・子育ては、この先20年続く長距離マラソンです。我慢や自己犠牲をしてやり続けるのはとても苦しいものだと思います。まずは、誰でもない自分自身を満たす選択や行動をすることが大切なのです。
 心理学の世界でも「自分の心のコップを満たした先に、初めて周囲に見返りを求めない利他の愛を注ぐことができる」と言われています。自分自身が満たされるのはどんな時か、自分の心や体と相談をしながら、リフレッシュの時間をとるなど自分を満たすアクションを日頃から心がけてみましょう。

無意識に持っている思い込みに気づく

 3つ目は、「無意識の思い込み」があることを認識しておくことです。自分がどういう状況で育てられてきたのか(12歳までの環境)によって自身の子育て観が決まるとも言われています。世界の中でも特に男女の役割分担への思い込み(ジェンダーバイアス)が強い日本。「健康診断や予防接種はママの担当」など女性に対するバイアスがある一方で「一家の大国柱は夫の役目」など男性に関する思い込みもあります。自分達が無意識のうちに持っている思い込みを認識することも自分らしい子育てに向けた大きな1歩と言えるでしょう。

罪悪感や自己嫌悪は、無意識のバイアスが隠れているサイン

 また、人と比べて罪悪感がわいたり、自己嫌悪に陥る時は、無意識のバイアスが隠れているサインです。先述の様なネガティブな感情が湧いた時には、いらない感情として、ゴミ箱に捨ててしまいましょう。それよりも一人の大人として自分のご機嫌を取るアクションをしていくことが、子供やパートナーに渡せる愛情の総量を増やすことにつながります。

ママが「自分らしさ」を見つけることが家族の幸せにつながる

 本コラムでは、「自分らしい子育ての見つけ方」というテーマで、育児をする際に大切にしたい視点やヒントをお伝えしてきました。子供の年齢とともに育児の悩みは変わり、課題は尽きませんが、こうした知識や情報を持った上で、自分自身やご家族と向き合い、自分らしい子育ての1歩につながれば幸いです。ママになっても何も諦めなくてもよいとすれば、自分はどんな人生を送りたいか?誰でもないママ自身が幸せを見つけること。それが家族全員の幸せにつながっています。

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