育児休暇はサバティカル? 育休中の私の時間の使い方

サバティカルは、日本ではあまり知られていませんが欧州先進国で積極的に取り入れられている長期休暇制度のことです。長期労働従事者には少なくとも1ヶ月のサバティカル休暇が付与され、会社側が認めた休暇制度であるため労働者は休暇明けの生活も保障されています。

このサバティカルの特徴は、休暇理由が明確でなくとも長期休暇を取得することができることです。外国ではサバティカルを使っての留学やボランティア、インターンシップなどが当たり前のように行われているのです。

残念ながら日本でサバティカルが導入されている企業はごくわずかですが、そんな中でも仕事から離れ、自分の興味・関心に時間を使うことができる人がいます。それこそがママになる「育休(育児休暇)」を取得する女性です。今回は育休というサバティカルの過ごし方と育休によって多くの気づきを得た働く母の例をご紹介します。

女性が恩恵を受けている育休というサバティカル

厚生労働省の「平成28年度雇用均等基本調査」によると、平成26年10月から1年間で在職中の女性労働者が育児休暇を取得した割合は81.8%。

一方で男性の育休取得率は3.16%(同期間)と年々上がっているとはいえまだまだ取得率としては低い状態が続いています。

事実として現在の日本では、男性は育休を積極的に取得しようという風潮は根付いておらず、それに伴って育休に対するマイナスな考えがハビこっていると言えます。ただ同時に育休はほとんど女性にしか取得できないサバティカルであるということもできるのです。

2017年10月には雇用保険関連法が可決され、育休の最長取得期間が2年になりましたが、キャリアを追求したいと考える女性にとってキャリアを中断することには多少なりとも不安があるでしょう。ここでは1年もしくは2年という休暇期間をどのように活用するのかをご紹介していきます。

育休というサバティカルの使い方

一定期間まとまった時間を取れずに、大学卒業以降社会で働き続けてきた女性は目の前のことにがむしゃらに取り組んできたはずです。

社会人になって初めての長期休暇をこれまで読む時間のなかった本の読書や英語の勉強、オンラインでできる色々な授業への参加、興味がある資格の取得や趣味に没頭する時間に使ってみてください。

芸術の分野のハイレベルな演奏や絵画に触れることで、プロの仕事を感じ仕事の基準を一段と上げることができるかもしれません。子育てのプロになるために本を読み漁れば、マネジメントの分野において飛躍するチャンスを掴めるかもしれません。

育休を通して目の前の仕事にひたむきに取り組んできたこれまでを振り返る時間を持つことで徐々に「なんのために」毎日を生きているのかを考える時間になるはずです。さらにはキャリア、人生の再構築に当てる時間になるかもしれません。

キャリアを広く捉え、自分をアップデートする

育休によって得られる自分自身の変化は大きいです。

それまで自分のために自分の物差しで働いてきた毎日が、我が子のために我が子の歩みとともに過ごすことになります。過ごしていた環境から少し距離を取ることで、これまで見ることができなかった視点で物事を見ることができるようになるかもしれません。

株式会社ハモニア代表取締役で2子の母であるの原佳代氏は『Medium』の中で出産、そして育児について、

“切り離すこと、捨てることは何か?を日常的に迫られる毎日となります。逆に、これだけは続けたいこと、大事にしたいこと、守りたいことを研ぎ澄ませていくことが必要になります(一部抜粋)”

と述べています。キャリアを追求している最中のサバティカルが彼女の生き方の幅を広げ、人としての経験を豊かにしているケースも少なくありません。育休というサバティカルが多くの女性の毎日をアップデートする最良の機会を与え、その後の理想のQOOLな自分に近づくきっかけを与えてくれているかもしれません。

参考:
「平成 28 年度雇用均等基本調査」の結果概要(「平成28年度雇用均等基本調査」の結果概要)
Medium:https://medium.com/@KayoMatsubara/A9-ecc3855bb539