女性が働きやすい職場とは?企業の取り組み事例と確認したいポイント

「女性が働きやすい職場」とはどんな職場でしょうか?

2014年には男女共同参画局が「女性が働きやすい環境を整え社会に活力を取り戻す」というタイトルで、女性の活躍推進の意義と課題や主要施策などをまとめています。

女性が働きやすい職場環境をつくり活躍してもらうことは、少子高齢化で労働人口減少が進む日本において、今まさに国をあげての施策となっているのです。

この記事では、女性が働きやすい職場にはどのような制度や環境があるのか、具体的な企業の事例とともにご紹介します。また、女性が働きやすい職場づくりをするで企業が得られるメリットや、転職時の企業の選び方についてもご説明します。

これから再就職や転職を検討している女性や、職場環境の整備を考えている企業担当者の方は是非参考にしてみてください。

参考:『女性が働きやすい環境を整え社会に活力を取り戻す-日本再興戦略における女性の活躍推進-』男女共同参画局

女性が働きやすい職場とは?

大手人材会社のエン・ジャパンがサイト利用者の女性1,037名を対象に「働きやすい職場」をテーマに行ったアンケートでは、現在の職場が「働きやすい・どちらかと言えば働きやすい」と回答した女性は52%でした。

働きやすいと回答した人の理由は「職場の雰囲気が良い」(56%)、「労働時間が適正・融通が利く」(51%)、「休暇を取りやすい」(49%)でした。

また年代別にみてみると、若い人ほど休暇の取りやすさや福利厚生などが整っていることを重要視しており、年齢があがるほど労働時間や仕事に裁量があることを重視していることがわかります。

現状、女性はまだまだ育児・介護をメインで担うことが多く、女性のキャリアは男性に比べてライフステージの変化に左右されやすくなっています。

そのため、子どもの突然の体調不良など、自分の意思ではコントロールできない事態も多く、労働時間や業務に融通が利くことが働きやすい職場の条件となるのでしょう。

■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:『エンウィメンズワーク』 ( http://women.en-japan.com/ )利用者 1,037名
■調査期間:2015年7月23日~8月26日

参考:『女性が働きにくさを感じる職場とは?』エン・ジャパン株式会社

女性の働きやすい制度が整っている

女性が働きやすい職場には、ライフステージに応じて働き方を臨機応変に変えることができるなど、無理なく安心して働き続けられる制度が整っていることが大切です。

妊娠中の措置や産前産後休業、育児休業については法律で定められており、全ての企業に義務付けられています(育児休業については一定の条件を満たさないと対象外となります)。

しかし、近年では会社の制度が法律を上回っていたり、独自の制度を設けているところも増えてきました。ここでは法律で定められている制度と企業独自の制度の事例をご紹介します。

妊娠前からサポート|サイバーエージェントの事例

【法律で定められている内容】
⚫️妊婦健康検査のために必要な時間がある場合、妊娠数に応じた時間の確保をする。(妊婦健康検査のため勤務しなかった時間や日の給与の支払いは会社の定めによる)

⚫️主治医から働き方について指導を受けた場合は、必要な措置を講じる。(例:妊娠中の通勤時間をずらすなどの緩和、適度な休憩を取らせるなど)

【サイバーエージェントの事例】
サイバーエージェントは2014年から、女性が出産・育児を経ても働き続けられる環境づくりを目指してmacalon(マカロン)」という制度をしいています。
こちらの制度で特徴的なことは、女性社員が休みを取る際の呼び名を統一して利用しやすくしたり、妊活中の社員のサポートがあったりする点です。8つの制度の中から妊娠前までのものをご紹介します。

⚫️ エフ休
女性特有の体調不良の際に、月1回取得できる特別休暇。女性社員は通常の有給休暇についても「エフ休」と呼ぶ決まりになっており、取得のしづらさに配慮しています。

⚫️ 妊活休暇
不妊治療中の女性社員が、治療のための通院等を目的に月1回まで取得可能な特別休暇。急な通院や体調等に考慮し、当日取得が可。利用時にはこちらも「エフ休」と呼ぶことで周囲に知られず取得することができます。

⚫️ 妊活コンシェル
妊活に興味がある社員や、将来の妊娠に不安がある社員が、専門家に月1回30分の個別カウンセリングで相談できる制度。

参考:『安心できる福利厚生:女性活躍促進制度 macalon』株式会社サイバーエージェント企業サイト

産前の急な体調変化に対応|日本航空(JAL)の事例

【法律で定められている内容】
⚫️ 産前産後休業
労働基準法によって定められており、妊娠出産をする全ての女性が対象。
出産前は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は請求すれば14週間前から)から仕事を休むことができ、出産後は、出産の翌日から8週間は就業不可になる制度。但し、産後6週間を過ぎた後、本人が請求し意思が認めた場合は就業可能。

【JALの事例】
産前は申し出ればいつからでも産前休業の取得が可能。出産後も8週間または10週間経過の日まで産後休業が取れる。

『CSR:両立支援』日本航空株式会社企業サイト

育児期間も安心|シグマクシスの事例

【法律で定められている内容】
⚫️ 育児休業期間中の社会保険の免除
育児休業取得中の社会保険料が被保険者本人負担分と事業主負担分ともに免除される。事業主が年金事務所又は健康保険組合に申出をする必要がある。

⚫️ 育児休業給付金
「育児休業を開始した日以前の2年間に被保険者期間が12か月以上ある」など、一定の要件を満たした場合、育児休業中に支払われる給付金。雇用保険より支給される。
金額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%)」で、2ヶ月に一度指定の口座に振り込まれる。

参考:『雇用保険事務手続きの手引き:第11章 育児休業給付について』厚生労働省

【シグマクシスの事例】
シグマクシスでは「キャリア」と「出産育児」の両立をしながら安心して活躍できるよう手厚い支援を用意しています。

⚫️ 出産祝い金
第一子10万円、第二子20万円、第三子100万円の出産祝い金を支給

⚫️ 産前産後休暇の有給付与
⚫️ 育児支援手当として、子どもが満3歳になるまで毎月75,000円を支給

参考:『環境/制度』株式会社シグマクシス企業サイト

復職時の不安解消|サントリーホールディングスの事例

【法律で定められている内容】
⚫️ 育児短時間勤務制度
改正育児・介護休業法により定められた制度。一定の要件を満たす社員は子どもが3歳になる前日まで1日の勤務時間を原則6時間に短縮できる。

⚫️ 子の看護休暇
子どもが6歳に達する日の属する年度の3月31日まで取得可能な子どもの看護のための休暇。子ども1人の場合5日、2人以上の場合は10日まで、病気、けがをした子の看護又は子どもに予防接種、健康診断を受けさせるために取ることができる。有給無給は企業の取り決めによる。

【サントリーホールディングスの事例】
⚫️短時間勤務制度の上乗せ
子どもが中学校進学まで短時間勤務が可能。短縮時間は1日あたり2時間を限度とする。

⚫️フレックス勤務
制度取得の事由は問わない。子どもの年齢制限も設けていない。

⚫️テレワーク勤務
制度取得の事由は問わない。子どもの年齢制限も設けていない。

⚫️復職時のベビーシッターサービス
保育園等への入園が困難な場合、法人契約先のベビーシッターを紹介する制度。保育園等への入園ができるまで、最長7カ月間の費用を会社が補助する。

⚫️キッズサポート休暇
育児事由全般のために有給で付与される特別休暇。中学校入学前の子ども1人につき1年間に5日、2人以上であれば1年間に10日取得可能。

またサントリーホールディングスでは、復帰への不安を和らげる復職支援として以下のような取り組みを実施しています。

⚫️休職前や復職前の所属長との面談を義務づけ
⚫️育休中、自宅のパソコンからイントラネットの閲覧可能
⚫️育休中、復職後に活用できるノウハウをメールマガジンで配布
⚫️「復職後フォローアップセミナー」
復職前に育休中の社員を集め、会社からの期待や先輩社員の事例の紹介、参加者同士でのグループワークを行う。復帰前に社員の悩みを解決し、スムーズな活躍を促進する狙いがある。

こうした取り組みの成果もあり、サントリーホールディングスは2018年以降男女共に復職率100%となっています。

参考:『ワークライフバランスの推進』サントリーホールディングス株式会社企業サイト

参考:『サントリー育児中社員の「フルモード化」加速の理由』日経DUAL

介護の心強い支え|大光電気の事例

【法律で定められている内容】
⚫️ 介護休業制度
申出により、要介護状態にある対象家族1人につき通算93日まで介護休業を取得できる。3回を上限として分割して取得することも可能。賃金は原則無給。

⚫️ 介護休業給付金
雇用保険の被保険者が要介護状態にある家族を介護するために介護休業を取得した場合、一定の要件を満たせば、介護休業開始時賃金月額の67%が支給される。

⚫️ 介護休暇制度
要介護状態にある対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで休暇を取得できる。1日、または半日単位。賃金は原則無給。

その他、育児介護休業法では、所定労働時間の短縮等の措置、所定外労働時間や時間外労働、深夜業の制限、転勤に対する配慮などが定められています。

【大光電気の事例】

⚫️介護休業中の給与
介護休業給付金に加え、介護休業手当(基本給の30%相当)を支給する

⚫️介護手当の支給
同居(または近郊に入院・居住も可)して介護を行っている社員に介護手当(3万円または5万円/月)を支給

⚫️帰郷介護補助
介護のために社員とその家族が帰郷する際の交通費を支給(半期で9名分までの実費)

参考:『企業のための 仕事と介護の両立支援ガイド〜介護離職を防ぐために〜』(p.25)厚生労働省

参考:『ダイバーシティの推進』大光電機株式会社企業サイト

女性が働きやすい職場環境づくりをするメリット

女性が働きやすい職場環境をつくることは、女性だけでなく企業にどんなメリットがあるのでしょうか。

企業の発展に繋がる

世界では、女性役員比率が高い企業の方が、株主資本利益率、売上高利益率、投資資本利益率などの経営指標が高い傾向がみられます。

また、日本でも女性の活躍推進に取り組んでいる企業(均等推進企業表彰企業)は、株式パフォーマンスがTOPIX平均を上回る水準で安定して上昇する傾向がみられました。

女性の活躍推進のためには、これまであげてきたようなライフステージの変化に柔軟に対応するための職場環境づくりが必須です。こうした環境づくりに取り組んでいる企業は、何もしない企業に比べ正社員1時間あたりの粗利益率が2倍以上高く、生産性が高まっていることがわかりました。

但し、企業が発展するためには育児と介護だけでなく、また性別に関わらず、多様な人材が活躍するための人事評価制度などの整備も併せて重要になってきます。

参考:『女性の活躍状況の資本市場における「見える化」に関する検討会 報告(平成24年12月)参考資料1』男女共同参画局

優秀な人材の確保に繋がる

女性が働きやすい職場をつくることは、企業にとって採用時の大きなアピールポイントになります。そのため、育児や介護を理由とした既存社員の退職を防ぐだけでなく、新たな優秀人材を確保することにも繋がるのです。

少子高齢化により労働人口減少が課題となっている今、働く環境を整えることで企業が発展し、優秀な人材の確保にも繋がるのであればやらない理由はありません。

助成金を利用できる

女性が働きやすい職場環境をつくることで、助成金を申請できる場合もあります。

⚫️中小企業子育て支援助成金
一定の要件を備えた育児休業を実施する中小企業事業主(従業員数100人以下)に対して、初めて育児休業取得者が出た場合に1人目70万円、2人目から5人目まで50万円を受給できる。

上記の他にも、企業が女性の働きやすい職場環境をつくるための設備を整えるための助成金制度や、ベビーシッターを利用したい社員に国が委託している協会のサービスを利用することで料金の一部もしくは全額を国が助成する事業も実施しています。

こうした国や自治体のサポートを活用し、働きやすい環境をつくることは、企業にとっても社員にとっても嬉しいことですね。

参考:『中小企業子育て支援助成金』厚生労働省

参考:『企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における「ベビーシッター派遣事業」の令和2年度の取扱いについて』内閣府

参考:『中小企業労働環境向上助成金(個別中小企業助成コース) のご案内』厚生労働省

転職や再就職の際に確認したいポイント

転職や再就職を検討している人は、どのような点に注意して求人を選べばよいのでしょうか。女性が働きやすい職場環境のある企業を探す際のポイントをご紹介します。

育児を経験している女性社員が多い

女性社員が多いことが必ずしも女性の働きやすい環境であるとは言えませんが、やはりひとつの指標にはなります。特に、子育てとの両立を経験した女性社員が多い場合は、企業が何かしらの両立支援をしている、職場に理解がある可能性が高いといえます。

これらの情報は、求人票に記載がない場合は企業サイトを確認したり、企業が運営しているブログなどからも垣間見えることがあります。

さらに管理職の女性がいる場合は、育児と両立しながらキャリアを築いていくロールモデルとなり、自分のキャリアプランも描きやすいかもしれません。

制度の利用実績があるか

制度があっても、実際に使われていなかったということは少なくありません。「社員の平均年齢が若いため、まだ利用実績がない」といった理由の場合は仕方ありませんが、育児や介護の適齢期の社員がいる場合に利用実績がない場合は注意が必要です。

利用実績が高い場合は求人票などに記載してあることもありますが、実績がない時ほど記載がありませんので、口コミサイトを参考にしたり、面接時に確認するなどしましょう。面接で聞く場合は、条件ありきという印象を与えないためにも、ある程度業務内容のすり合わせができた二次面接以降の確認がおすすめです。

「くるみん」「えるぼし」マークの取得実績

2019年5月に女性活躍推進法が改正されました。この改正で、女性活躍に関する情報公表が義務付けられたり(※1)女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業に送られる「えるぼし認定」に加えて、さらに高い基準を満たした企業に送られる「プラチナえるぼし認定」が創設されました。

女性の活躍推進に向けて、企業が一丸となって取り組まなくては取得できない高い基準となっていますので、就職先の企業を探す際には、こうした「えるぼしマーク」や「プラチナえるぼしマーク」を取得しているか、という点も参考になります。

また、「くるみんマーク」は「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を認定(くるみん認定)を受けた企業におくられます。こちらも2015年4月1日より、既にくるみんマークを取得しており更に高い水準を満たした企業には、新たに「プラチナくるみんマーク」の認定がされることになりました。

くるみん認定を取得するためには、従業員が仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員を含めた多様な労働条件の整備などに取り組むにあたって、具体的な行動計画の策定と実施後の申請が必要です。

審査に通った場合のみ付与されるため、女性の働きやすい環境を探す際、「くるみんマーク」の有無は一定の判断材料となります。

(※1)常時雇用する労働者が101人以上の企業

参考:『女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)』厚生労働省

参考:『次世代育成支援対策推進法関係パンフレット:全体版』厚生労働省

まとめ

2018年に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した調査では、2012年からの5年間で、日本の労働力人口は155万人増加しました。増加の主力は女性と高齢者で、これは、企業が働きやすい環境づくりへ取り組んだ結果と言えます。

しかし、現状は復帰後に業務量や両立によるストレスなどから身体を壊したり、働き方について悩むワーママは少なくありません。まだまだ改善すべき点は多くあります。

女性が働きやすい職場をつくることは、決して女性のためだけではなく、企業の生き残りをかけた課題でもあります。また、今後育児や介護を女性だけでなく男性も担っていく世の中になることを考えると、「女性のため」ではなく「多様な背景の人にとって」働きやすい環境をつくっていくこと=ダイバーシティの推進という認識が今後求められるのではないでしょうか。

参考:『2030 年までの労働力人口・労働投入量の予測(p.3)』三菱UFJリサーチ&コンサルティング

参考:『あなたも取れる!産休&育休』厚生労働省

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