子育てを終えたいつかの私のために育児と仕事のベストバランスをみつける

株式会社MaVie | 志賀祥子

大手金融機関や企業の広報責任者などを経て2015年にフリーランスとして独立、2019年に株式会社MaVie(マヴィ)を設立した志賀祥子さん。企業のPRやブランディング活動の支援のほか、女性活躍支援や、育児と仕事の両立をする女性向けのコミュニティとメディアも運営されています。結婚や出産などのライフイベントを問わず、女性のキャリアの選択肢を広げるため活動を続ける志賀さんに、現在のご活動や今後の展開をお伺いしました。

働くお母さんの悩みは昭和の頃から変わっていない 

2018年から「M relations」というコミュニティを立ち上げ、イベントとメディアを運営しています。働く女性が知っておくべき情報を発信したり、月に1度ナレッジシェアの場を設けたりしています。子育て中の女性だけでなく、これから子供を考えている方など、20代〜40代の幅広い女性にご参加いただいていますね。イベントは、参加者が共通の目的意識を持ち、双方向に会話ができるようクローズドに開催しています。働くお母さんは、自分の悩みと向き合う時間がなかなかありません。そういった意味でも、自分の課題や悩みを可視化し少しでも解決に導くこと、ネクストアクションを定められるよう、ポジティブな場の雰囲気づくりを大切にしています。

コミュニティを立ち上げたのは、自分が初めて妊娠や出産を経験した際、身の回りにあまりにも「働くお母さん自身」の情報が少なかったという実体験からです。世の中にはたくさんの働くお母さんがいるのに、彼女たちの経験や知識が全くシェアされていない。男女雇用機会均等法が施行された昭和の後期、つまり50年以上も前に子育てをしていた女性たちの悩みと、平成が終え、令和時代の働くお母さんの悩みは変わっていないという調査もあるほどです。「一度離職してしまうと、保育園になかなか入れない」「急な発熱で保育園へ預けられない時に、頼れる場所がない」。様々な立場の女性がぶつかる壁をどのように乗り越えたらよいのかを真剣に考えた結果、子育てに携わっている人たちがお互いの経験や知見をシェアすることこそ、誰かの力になるのではないかと思いました。

情報を発信するうえで大切にしているのは、スーパーママではなく、働くお母さんたちの等身大の情報を発信すること。子供は急に発熱したりと、予想もできないことが起こりえるのが子育てです。例えば「保育園に預け始めた頃は、頻繁に熱を出しやすい」と事前に知っているだけで、子どもを預けたばかりのお母さんの気持ちはずっと楽になります。どんな些細なことであってもお母さんが必ずぶつかる壁や、それらをどう乗り越えたかの情報を丁寧に集めて、今後も発信を続けていきたいです。

育児と仕事にはポジティヴなシナジーがある

働く女性のなかには、妊娠や出産、育児が仕事にネガティブな影響を及ぼしてしまうのではと不安視する方もいらっしゃると思います。時間の制約など大変な場面ももちろんありますが、それ以上にポジティブな面がとても多いということを強調したいですね。私でさえ、出産直後は社会から置いてきぼりにされているような不安を感じてしまう日がありました。「子どもはとっても可愛いし成長を間近で見ていたい。ずっと一緒にいたい」と思う一方で、「社会とつながり、仕事を通して自己実現に向かっていくことも生きがい」なんですよね。その働くお母さんならではのバランスが、少しずつ仕事を再開することで、充実し満たされていくのを実感しました。本格復帰に向けて、子供を初めて保育園に預けた日、ひとり静かにパソコンを開いた瞬間に仕事のスイッチがぱちっと入った感覚は今でも忘れられません。子供を授かったことで、仕事ができるありがたさも同時に噛みしめることができ、自分の子どもが生きる未来をよくしていきたいと思う親心も芽生え、燃料が倍になっている気がしています。

育児と仕事の両立に必要なものは、何よりも家族や夫との連携です。妊娠中もつわりが重く長く、出産前から夫には助けてもらっていましたが、その頃から「赤ちゃんは3時間おきに授乳やおむつ替えなどお世話が必要」「出産後の女性の身体は、交通事故にあった時と同様のダメージ」などと、様々な情報を家族内で共有するようにしていました。そのかいもあって、産後すぐから夫も積極的に育児も家事をしています。

特に産後は「私がやらないと!」とお母さんは全てを完璧にこなそうとしがちです。そこで外部のサービスに頼ったり、夫やまわりの人々にサポートを求めることは、お母さんの心身を健康に保つためにとても大事です。会社の上司や同僚にも、自分から率先してコミュニケーションを取ってみてください。そうすることで、想像以上に気が楽になったり、簡単に問題が解決する場合もあります。孤独を感じているお母さんや、将来のキャリアに不安を感じているお母さんも、色々なことを仕方なく諦める必要はどこにもありません。自分なりのバランスをゆっくりと見つけられたら、育児と仕事の両立も少しずつみえてくるはずです。

子育てを終えた自分がどうなっていたいか逆算してキャリアを築く

私は新卒で金融機関に就職し、その後大手住宅メーカーやスタートアップで広報責任者として勤務してきました。しかしどの規模の組織に在籍していても「子育てと仕事を笑顔で両立している女性」が身近におらず、自分なりに模索してみようと思ったのが独立のきっかけです。2019年に株式会社MaVieを設立してからは、企業の広報支援のほか、大学生向けに女子大学での講義や、女性社員向けのワークショップ等を行っています。学生のなかには「働きながら子育てするのは難しそうだから、とりあえず一般職として企業に就職して、結婚したら退職しよう」という考えをおもちの方もいます。またこれから結婚・出産を考えている中堅社員の方は、「子育てとの両立に、漠然とした不安を抱えている」といいます。忙しそうに、そして大変そうに働く女性たちの姿をみたら、そう感じてしまうのも不思議ではないですよね。だからこそいきいきと働きながら、仕事も育児も全力で楽しめる環境と人材の創出に少しでも寄与できればと思っています。

今では一口に「働く」といっても、フルタイム出勤の勤務形態以外に時短勤務やフレックス勤務、リモートワークや業務委託など、様々な選択肢があります。重要なのは挑戦する前からあきらめないこと。ぜひ今だけでなく、長い目でゆっくりと考えてみてください。子育てが終わり自分の時間ができた時に、果たして自分はどのような姿になっていたいか。目標がある程度定まったら、少しずつ選択肢を広げながら一歩踏み出してみると、そこには新しい景色が見えているはずです。

 

 

 

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