企業が欲している人材とは? 元人事の主婦ライターが語るセルフコントロールの重要性

こんにちは、モト人事の主婦ライター、たなべさつきです。なんだか今日はやる気がおきない……何もしたくない! そんな日もありますよね。「五月病」なんて期間限定なものでなく、不定期に突然おこる気持ちの波。仕事の効率にも関わってくるし、クオリティにも影響してしまいそう。 働く女性にとって、できれば関わりたくない、攻略しておきたい強敵です。そこで今回は、そんなやる気のでない日の原因を探り、その対策法を探してみたいと思います。

やる気が出ない、その原因を見つけよう。

やる気スイッチが入らない日。その原因は大きく二つに分類できることでしょう。

まず、当日のスケジュールが過密であるとか、苦手な人との打ち合わせがあるとか、やりたくないタスクが山積みであるとか。現実的に仕事に関わる内容がメンタルに直接影響するケース。これは誰にでもありうる事でしょう。

そして仕事内容とは関係なく、どうしようもなくやる気が出ない。小さなことにもイライラしてしまい、はかどらない。そんな時は、女性であるがゆえの問題「ホルモンバランス」の仕業であることを疑ってみてください。大体1か月の周期で回っている女性のサイクル。生理前や生理中には気持ちが不安定になったり、常に眠気に見舞われ、頭が働かなかったりしますよね。なぜそのような変化が女性の体に起こるかは、2種類の女性ホルモンが関わっています。

女性の生理周期のあいだには、自律神経や脳の働きに影響を与える「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と、女性の体を妊娠できる状態に整えることや、利尿作用や乳腺の発達に影響のある「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の両方がバランスよく分泌されています。この2種類の女性ホルモンの分泌が周期的に行われていることで、女性の体も女性らしくいるために調整をされ、変化をしているのです。そして、その分泌量のバランスが崩れる事で、不調やトラブルとして体感するようになるのです。

対策1:リズムを知り、受け入れる

それでも、仕事が忙しすぎるから、ホルモンバランスだから。そのことを上司や同僚に伝えても、やる気がないことや仕事の効率が上がらないことの理由になんてならないのは皆さんご存じのことで、だからこそ悩んでしまうものなのだと思います。

そんな時は、まずは自分と対話してみてください。自らの心の中で「なぜやる気がでないのか」と問いかけて、答えを見つけて、納得に導く。それだけで気持ちは変わります。

「そうか、あの仕事をしたくないからこんなに気持ちが浮かないのか。じゃあ、とりあえずあの仕事を終わらせればまた前向きに頑張れる! 」「そろそろ生理がくる頃だな。ホルモンバランスなら仕方ない。体調が悪くなる週末までに仕事を進めておこう! あと、今は温かくして体を冷やさないようにしておこう」

こうして原因をみつけてしっかりと向き合い、解決策を身につけていきましょう。知識をつけた上で、その原因と向き合い続けることで、おのずとその流れもルーティーンとして見えてくるはずです。結婚10年を経過した我が家の夫は、私から長めのお説教のようなLINEが届くと「そろそろ生理がくるんだな」と察して、甘いものをお土産に買ってきてくれるなど、いつもより少し優しくしてくれるようになりました。ホルモンバランスの問題だけとして済まされるのもちょっと寂しかったりするんですけどね……。

対策2:依存しないで生きる。それがスイッチをコントロールするということ

仕事が忙しすぎてやる気がでない、ホルモンバランスに左右されてイライラする。そういったストレスの根源を突き詰めて考えていくと、「コントロールできていない」ことに原因があると思いませんか。

私自身も、特にママになってから強く思います。時間を自分軸でコントロールできていないことがストレスにつながっているのだなと。「やろうとしていた事を中断される」「次にやろうとしていた事を今すぐにやってといわれる」そうした他人軸の指示に翻弄(ほんろう)されながら働くことにストレスを感じているのが男女関係なく、多くの働く人の本音なのだと思います。

そのストレスの解決策の糸口としてぜひ、「私の時間は、私でコントロールしている」という意識に切り替えることを始めてみてください。オーストリアの精神科医であり心理学者であったアルフレッド・アドラーが創始した心理学「アドラー心理学」に、「自己決定性」という言葉があります。この言葉には「充実した人生を送るか、ふがいない人生を送るかは、自分しだいで決まる。どのような状況においても、自分自身が主人公なのだから、主体的に生きていくことが大切である」という意味があります。そして、この考え方はモチベーション管理術として多くの企業に支持され、研修に導入され始めています。

もちろん組織に属していたら、他人軸の時間や指示に従わざるをえないことの方が多いでしょう。ただその中で、自分なりの創意工夫を意識的に仕事に取り込み、自らの力で仕事を創造しているんだ、という思いを心の中に持つだけでも、気持ちは変わります。そして、そういった自立した前向きな姿勢をもつという、ひとりひとりの空気感が、良い風の渦をまきおこし、企業全体にポジティブな風土を浸透させていくようになるのです。

採用面接の際に採用担当者が、転職理由や失敗談などネガティブな質問を多くするのは、問題解決能力と、根本的な性格がポジティブであるか、ネガティブであるかを見極めるためです。職種や募集ポジションによっては、即戦力があり、抜きんでた経歴をもつ人材を求めているケースも多くありますが、企業が欲しているのは大概の場合、精神的に自立していて、ポジティブな思考力のある「人間力の高い」人材です。

他者に意思決定を委ねて依存をしすぎていると、いつか必ず意図せぬ結果となり、喪失感を突き付けられる日はきます。1日の中で小さなことでもよいので、自己の力で創造している瞬間を感じ、受け入れてあげてください。成果を見つける時間を布団の中の眠りに落ちる前5分でいいので作ってみるとよいと思います。そうした小さな積み重ねが自信となり、前向きに気持ちをコントロールするテクニックとして自身を守ってくれるようになることでしょう。

まとめ

「自分の気持ちがコントロールできている」という自信がある人ほど、やる気は持続しやすいもので、上手に気持ちをきりかえて、物事に取り組み続けていくことができます。自らの意志で気持ちをコントロールすることを、心理学では「セルフコントロール」と言い、この能力を高めるために大切なことは「リラックスをすること」だともいわれています。

リラックス方法も「深呼吸」や「笑うこと」「雑談をする」「運動をする」などたくさんありますし、人それぞれでしょう、今日は頑張るぞ、と気合を入れて頑張る日ももちろん必要ですが、それだけでなく、うまくリラックスをとりいれて、私なりのリズムで仕事と気持ちをコントロールしてみてください。幸せを感じるのも、人生をコントロールしていくのも自分の気持ち次第なのですものね。

【参考文献】
・やる気のコツ アドラーが教える9つの勇気 植西聰 自由国民社