現実は甘くない? ママの就活の難しさと正社員の内定を勝ちとる方法

「ママになった途端になんで就活うまくいかないんだろ」
「面接で2人目の子供を考えている、なんて言えるわけもないし」

多くの女性がママになった途端、急にキャリアの道が狭まっていくように感じています。友人から話を聞いたり、ネットで調べたりするだけでもやはりママにとって就活は簡単なことではないのです。

就職活動をしているママやこれから始めようと思っているママに、就職活動が難しいわけと正社員の内定を得るためにやっておくべきことをご紹介していきます。

ママになると就職が難しくなるわけ

女性がママになり、仕事に就けないのには主に2つの理由があります。

女性自身の考え方の変化

出典:「平成 28 年版 働く女性の実情(Ⅰ部第2章)」(概要版) ~地域別にみた女性の就業状況~<https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11902000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Koyoukintouseisakuka/0000169523.pdf>2018年5月19日アクセス.

 

このグラフは神奈川県の女性の年齢階級別労働力率、つまり女性が何歳でどれだけ働いているのかを表したグラフです。

このグラフの中で25〜29歳の「82.2%」と最も働いている人の割合が大きくなっている年齢から次第に下がり、35〜39歳では「66.8%」と働き盛りの年代では最低となります。そしてそこから徐々に増加していきます。

この「M」のような形を描く現象のことを「M字カーブ」と呼びます。まさに出産適齢期の女性が一度仕事から離れ、復帰する様子が現れているのです。

このM字カーブが起きる理由として平成27年の内閣府が実施した「地域における女性の活躍に関する意識調査」に答えた女性のうち、「自分の家庭の理想は、『夫が外で働き、妻が家を守る』ことだ」という設問に「ややそう思う」「そう思う」と回答した地域ほど女性の就業率が低い傾向にあることがわかりました。

女性が自らを「家庭を守る存在」と考えてしまうことが就職や再就職を困難にしているのかもしれません。一方で女性本人の考え方だけの問題ではありません。女性が社会から必要とされていないと感じる瞬間もあるようです。

企業の子持ち女性に対する期待が低い

いざママになって就職活動を始めると、久しぶりに家庭外の人とコミュニケーションを持つ中で疎外感を感じてしまう人は多いと言います。

「出産まではバリバリ働いてきていたので面接には自信を持って臨みました。しかし実際に面接に行って聞かれたのは、子供は何歳で何人いるのか、と家庭のことばかり。まだ(子供が)小さいことを話すと、ため息まじりに『考えておきます』と言われました。」(30代会社員 神奈川県)

こちらのママは面接の中での面接官の子供がいる女性に対する態度から、ママである女性は迷惑に思われるという恐怖心をいだいたそうです。

また家庭の今後について聞かれたというママもいました。

「1人目の出産を終え、慣らし保育も終わったのでやっと復帰できると思い就活を始めました。今いる子供に関しては両親も近くにいるので大丈夫です、と答えていたのですが、『2人目は欲しいと思っているの?』と聞かれた時はどきっとしました。『はい』と言いたい気持ちと求められている答えとのギャップに詰まりました。」(30代会社員 東京都)

将来的な家族計画について聞かれても「欲しくない」と言い切ることができる人はそう多くはないでしょう。1年近く仕事から離れているママが受け入れられない企業の状態にも問題があるのです。

そうであれば正社員への就職ではなく、パートやアルバイトへの就職でも良いと感じる人も多いでしょう。事実多くの女性がパートとして働いています。

次ではママになった女性が働き続けたいと思う理由について見ていきます。

働きたいと思う理由

ママになった女性が働きたいと思う一番の理由は様々です。その中でも多くの働く女性が感じている働き続けたいと思う理由と働き方について見ていきます。

経済的余裕

経済的余裕というと、贅沢な暮らしがしたいと考える人と、必要最低限もしくは将来への貯蓄と考える人の2種類がありますが、ここでは後者の「必要最低限もしくは将来への貯蓄」について具体的な金額を見ていきます。

平成22年に行われた内閣府の調査によると、子供1人あたりにかかる年間の費用は
未就園児:84万円
保育所・幼稚園児:121万円
小学生:115万円
中学生:155万円
となっています。

年間費用なので、例えば幼稚園5年、小学校6年、中学校3年であれば、
121(万円)× 5(年)+ 115(万円)× 6(年)+ 155(万円)× 3年=1,760万円
もかかってきます。

さらにパートナーそれぞれの両親の介護が必要になってくると、介護にも費用が発生します。
家計経済研究所によると、1人あたりの介護費用は月間5万円です。

仮にそれぞれのパートナーの両親のどちらかが5年間の介護が必要になると、
5(万円)×12(ヶ月)×5(年)×2(人)=600万円
が費用になります。

学費と介護を合わせて、将来的に夫の収入だけで2,000万円以上の支出をまかなうことができれば良いですが、将来的に何が起こるかわからないことを考えると、共働きの方が安心といえるでしょう。
共働きをする上で雇用形態は稼ぎに大きく影響しています。実際に平成29年賃金構造基本統計調査によると、女性正社員の平均収入は263万円である一方、正社員以外は189万円となっています。正社員とそれ以外の雇用形態によって1年で74万円、10年で740万円の差が開くとしたら家計に生まれる余裕も大きく異なります。

ただ正社員というと「時間の融通がきかない」「家族と過ごす時間が減る」と、金銭的報酬よりも時間的な自由を求めるのもまた普通のことです。

意外と知られていませんが、子供は母の姿を見て「これがあるべき大人像」と思うことが少なくありません。では母が働いていることによって子供が学ぶ、という教育の観点から考えて見ましょう。

働くことによる子供への教育

働く母の子供に生まれると「近くに母親がいなくてかわいそう」と思われてしまうかもしれないと思っている人は少なくありませんが、実際はその真逆かもしれません。

ハーバードビジネススクールの調査によると、先進24カ国への調査の中で、働く母の娘である人は働かない母の娘である人よりも23%も収入が高く、また家事などへの積極的な参加も確認されたということです。

もちろん収入や家事への参加によって子供の教育が良いとは言えませんが、実際に、

「働く母の姿がかっこよく、私も将来ああなりたいと思っていました。お母さんが一番のロールモデルです。」(20代会社員 東京都)

「働くことが当たり前だと思っていますし、どう生きていくのかという点で自分の母のようになりたいと教えられたような気がしています。」(20代会社員 神奈川県)

多くの働いている母の娘にとって、自分の母は憧れの存在として追いかけるロールモデルになっています。

そんなかっこいいママ社員として働くために、知っておきたい就活で成功する秘訣についてお話ししていきます。

ママ社員になるために就活で成功する秘訣

ママ社員になるためには前提として勤務時間は子供を預けられる状態であることが必要です。特に都心では待機児童が深刻な問題になっていますが、子供を預けられなければいきなり正社員になるのは難しいでしょう。また近い将来、正社員になるために今の時間を上手に使うことも必要です。ここでは子供を預けられる場合とそうでない場合、スキルに自信がある場合とそうでない場合に分けてみていきます。

子供を預けられる・スキルに自信がある場合

この場合は心配はいりません。できるだけ面接までにエージェントの人など外の人とのコミュニケーションをとるようにしましょう。良いスキルがあってもしっかりと伝えられず、話がまとまっていないとせっかくの良さを理解してもらえません。自分が思っている以上に対人能力や仕事でのスピード感は鈍っています。訓練だと思って人と交わる機会を増やすようにしましょう。

子供を預けられる・スキルに自信がない場合

スキルに自信がない場合はまずパートから初めてみても良いかもしれません。現在では社員登用の可能性がある求人も増えてきています。自分自身が職場に合うのかという不安を解消し、慣れるまではパートという気持ちで応募してみるのも良いでしょう。登用予定のパートに応募する際に注意すべきことはこちらをご確認ください。

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子供を預けられない・スキルに自信がある場合

この場合は業務委託やフリーランスとして就職することも選択肢の1つです。ちなみに認可保育園が定めるポイントとしては居宅内自営の場合、正社員よりも若干低いポイントとなりますが、無職よりは保育園に入りやすくなります。

子供を預けられない・スキルに自信がない場合

スキルに自信がない場合はオンラインでスキルを身につけられるオンラインスクールなどを受講してみても良いかもしれません。英会話などだけではなく、最近ではプログラミング、デザイン、マネジメントなど多くのコースが用意されています。自宅にいながら実用レベルまでスキルを高め、早期に就職ができるよう準備しましょう。

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まとめ

ブランクのあるママが就活して内定を勝ち取ることは一般的に見れば簡単なことではありません。それはママになった女性個人が仕事をする上での感覚を失って自信をなくしている場合と、環境が子供を持つ母を受け入れて活躍させられない場合があります。決してママになったからではなく、いかに受け入れられる企業と出会い、企業に対して貢献できる人物であるかは自分次第なのです。リアルタイムの情報を早めに収集し、自分の状態に合った就活をすることから始めてみてはいかがでしょうか?

参考文献:
厚生労働省ホームページ “「平成 28 年版 働く女性の実情(Ⅰ部第2章)」(概要版)~地域別にみた女性の就業状況~”<http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11902000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Koyoukintouseisakuka/0000169523.pdf>2018年5月18日アクセス.

内閣府ホームページ”インターネットによる子育て費用に関する調査報告書【概要版】”
<http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/gaiyou.pdf>2018年5月18日アクセス.

公共財団法人 家計経済研究所ホームページ”調査結果”<http://www.kakeiken.or.jp/jp/research/kaigo2016/2016result1.html>2018年5月18日アクセス.