一人ひとりが持つ?キャリアのプロに聞いた「私らしいリーダーシップ」の見つけ方

「自分らしい」キャリアの実現に挑む株式会社エスキャリア。国内200名のキャリアコンサルタントのパートナーと共に、これまで数多くの女性たちのキャリア支援を行ってきたエスキャリア代表の土屋美乃さんに、“自分らしい”リーダーシップの見つけ方について伺いました。

リーダーシップの多様性

リーダーシップとは、私は一人ひとりの「影響力」と定義していますが、リーダーシップの違いは性別にだけ起因するものではないと考えています。性別そのものではなく、あくまでエネルギーの違い。男性的なリーダーシップとは「引っ張る」「突き進む」といった男性性エネルギーの強いものです。もちろん女性の中にも男性性エネルギーが強い人もいます。

どうしても”リーダー”というと先頭で引っ張る「牽引的リーダーシップ」のイメージが強いですが、後方からマネジメントを行う「サーバントリーダーシップ」のようなタイプの人もいます。

私は万人が組織の中で発揮できる個々それぞれのリーダーシップを持っていると考えています。これからは自分だけではなく、他人と協力したほうがより大きな成果が出るようになる時代。受け身ではなく、自分らしいリーダーシップのカタチを見つけておくことで、活躍の機会はグッと広がると考えています。

自分らしいリーダーシップの見つけ方

私は一つに、『ストレングスファインダー(トム・ラス著)*』を使用することをオススメしています。ストレングスファインダーは仕事内容に関わらず、汎用的な個人の資質を言語化してくれるため、自分の強みの原石を再確認することができます。

日々仕事をしていると、弱みの改善やできないことばかりに目がいきますが、自分の強みを知って伸ばすことで自分だからこそできることが見えてきます。そしてそうした資質は漠然と伸ばそうとするものではなく、「共感性」「戦略性」など一つ一つの資質を意識的に伸ばしていくことが必要です。ストレングスファインダーはその一つ一つを知るのに便利なツールではないでしょうか。

私たちエスキャリアも社内での役割分担においては「強み」に目を向け、活かしていく取り組みを行っています。

*ストレングスファインダーとは書籍に貼り付けられているウェブテストを行い、「34の資質」のなかで自分の強みの原石を見つけるもの。多くの企業で導入されている(1,944円)。

人間関係がうまくいかない時に意識すべきこと

女性の場合、タイプが異なる(特に感情表現が少ない)人に「苦手」や「怖い」という感情を覚えたことは少なくないのではないでしょうか。

自分が感情豊かで発言が多いタイプ、相手がドライで口数が少ないタイプ。そんな時は、まず二人が「対極である」ことを認識することが必要です。衝突する可能性の高い関係である一方、相互補完ができる関係でもあるのが対極の関係性の良いところです。

相手の特徴を捉えたコミュニケーションを心がけることで円滑に話が進む可能性が一段と上がります。また相手の背景を知ることも必要。「理由のわからない早退」と「急な子どもの病気によるお迎えのための早退」では心理的印象も違うように、相手のプライベートなど職場では見えにくい背景を知っておくことで相手に対して「許せる幅」が広くなるのです。

また職場に個人の事情を持ち込むことを嫌う文化はまだまだ根強いですが、私は子育てなどの話をもっと持ち出すべきだと考えています。女性は、一つの身でビジネスマン、母、妻としての役割を全うしています。キャリアという言葉が、仕事だけではなく人生全体を指すように、もっと抱えている問題に対して職場が受容的になってもいいのではないかと思っています。

上手なリーダーのあり方

リーダーが完璧であればあるほど組織は従属的になっていきます。できないことに関しては、メンバーのモチベートをして助けてもらいましょう。

責任感が強いリーダーは要注意です。リーダーが張り切ってやりすぎると、知らぬ間にリーダーが「犠牲感」に駆られてしまいます。「やってあげてるのに」と思うのではなく、常に助けられて感謝するくらいのリーダーで良いのではないでしょうか。

女性も組織の中で大いに一人ひとりが持つ”自分らしい影響力”を発揮してほしいと思っています。その際、自分だけの力でなんとかするのではなく、人との共存の中で、頼り、助けられることが大切です。

他人に仕事を依頼するときは、「あなたならできる」と信頼をおいて任せきってみましょう。お願いしたものがうまくいけば小さなことでも「ありがとう」と感謝をします。

当たり前のことですが、信頼と感謝をきちんと丁寧にできれば、あなたの周りは良いチーム・組織になっていくのではないでしょうか。