転職して時短勤務で働きたい!転職成功のために気をつけるべきポイントとは?

子育てと仕事の両立に悩んでいるそんなワーキングマザーは多いでしょう。なかなか長時間働くことができないので、正社員として雇用されることやキャリアアップすることはもう諦めている人もいるかもしれません。そんなワーキングマザー知っておきたい制度に時短勤務制度があります。そこで、今回は時短勤務制度とはそもそもどういった制度なのか、活用する際にはどういった点に気をつけるべきかについて詳しく解説します。また、時短勤務制度社員として転職したい場合のポイントについても紹介します。

そもそも時短勤務制度とは?

時短勤務制度とは、平成21年6月に改正された育児・介護休業法においてすべての事業主に義務化されている制度です。当初は従業員数が101人以上の企業の事業主が対象でしたが、平成24年には従業員100人以下の企業にも導入が義務付けされるようになり、平成29年の法改正では、従業員からの申し出があった場合、事業主は労働時間短縮の要求に応じなければならない、と明記されるようになりました。この改正では時間外労働を免除する制度の導入も義務化されています。

時短勤務制度は育児中の労働者の1日の所定労働時間を原則として6時間にしなければならないというものです。このことはあくまでも最低基準であり、各企業がそれを上回る制度を採用することは望ましいとされています。そのため、企業によってはより短い労働時間であることも可能ですし、子どもを保育園に預ける時間を考慮して出社時刻や退社時刻を調整できるようにしている企業も多いです。そのほか、法律では3歳未満の子どもを育てている労働者に対して所定外労働(残業)や午後10時から午前5時の間の深夜帯の勤務を禁止しています。こうした勤務の免除を対象となっている労働者が適用を申請した場合、事業主はそれを受け入れなければなりません。

時短勤務制度の対象となる労働者は、次の5つの項目に該当している必要があります。まず挙げられるのは、子どもの年齢が3歳未満であることです。出勤日の労働時間が6時間以上であること、適用になる期間が育児休業中でないことも対象となるための条件です。また、日雇い労働者や労使協定によって適用除外となっている場合はの制度を利用することができません。適用除外の労働者とは、たとえば雇用期間が1年未満の場合や、1週間の労働日数が2日以内の場合などです。

注意するべきポイントは、時短勤務制度は対象となっていれば自動的に適用されるわけではないということです。時短勤務制度を活用する際には、労働者の側から事業主に対して制度の適用を申請しなければなりません。育児・介護休業法では労働者がこの時短勤務制度の適用を雇用主に申し出たことによって解雇や雇止め、減給のような不利益を被ってはならないと規定されています。そのため、適用の対象となっている場合は安心してその旨を会社に相談してみましょう。

また、子どもの年齢が3歳以上であっても、未就学児の期間は時短勤務制度を適用できます。ただし、その場合は1日6時間以内といった所定労働時間の制限はありません。とはいうものの、時間外労働が1カ月に24時間、1年間で150時間以内になるよう求められています。また、午後10時から午前5時の間の深夜勤務は禁止されています。子どもが3歳以上であっても、残業や深夜労働を会社から求められた場合にはそれを拒否することができるのです。

6割の企業が時短勤務制度を導入している!

人材派遣会社のマンパワーグループが2019年に実施したアンケート調査によると、質問した400名の企業の人事担当者のうち、6割が産育休などからの復帰を支援する時短勤務制度を導入していると回答しました。また、短時間正社員制度はおよそ2割、在宅勤務制はおよそ1割が導入していると回答しています。このことから、多くの企業でフルタイムだけでないさまざまな働き方ができる環境が整ってきているといえるでしょう。とりわけ女性社員の多い企業やスタートアップ企業、ベンチャー企業において導入が進んでいるといわれています。

スタートアップ企業ベンチャー企業で導入が進んでいる理由として考えられるのは、スタートアップ企業ベンチャー企業は数少ない人員で成長しなければならないことです。そうした事情から、普通の企業よりも効率的に働くという意識が高いのです。収入の面ではどうしても大企業よりは見劣りする場合が多いですし、時と場合によってはハードワークになってしまうことも多いです。しかし、スタートアップ企業ベンチャー企業ではルーティーン業務が多い大企業と比べてマニュアル化しにくい仕事の経験を積むことができます。その経験は時短勤務後のキャリアアップに大きく役立つでしょう。

時短勤務で働くことのメリットとデメリット

時短勤務を活用するのであれば、そのメリットとデメリットについて事前によく把握しておく必要があります。時短勤務で働くメリットは、なんといっても家事や育児に費やせる時間が増えることです。育児をしていると、とにかく1日の時間が足りないと感じることが多いものです。勤務時間が6時間になることでフルタイム勤務のときよりも朝や夕方に余裕ができるでしょう。そうして時間に余裕が生まれると、その分精神的なゆとりも生まれます。仕事と育児の両立をしやすくなるでしょう。

時短勤務であれば子どもを病院に通わせやすいというメリットもあります。病気やケガで子どもが定期的に通院しなければならない場合、フルタイムで働いているとなかなか診察時間に子どもを病院に連れて行くことができないものです。しかし、時短勤務であれば早く家に帰れるので、診察時間内に通院できるようになります。万が一のことがあっても安心です。

一方、時短勤務にすることで生じるデメリットもあります。まず挙げられるのは、収入が減ってしまうことです。勤務時間が短くなれば、当然その分の給与額は下がります。特に毎月の見なし残業分があらかじめ給与額に含まれている場合、時短勤務にすることで収入額が半分程度にまで落ち込んでしまうケースも珍しくありません。あらかじめ時短勤務をするとどれくらい収入が減ってしまうのか、しっかり計算しておくことが大切です。

また、いくら法律上は制度を利用することで不利益が生じてはならないと定められているとはいえ、現実にはなかなかそうはいかないことも多いです。職場の同僚がまだ働いているうちに帰宅するのは気まずいものです。最悪の場合、職場の環境によっては時短勤務を始めたことで人間関係が悪化してしまうこともありえます。そのような事態にならないよう、あらかじめ職場の同僚にも時短勤務することについての理解をしっかりと得ておくことが大切です。

人間関係の問題は家庭内でも起こりえます。どちらか一方が時短勤務を始めたことでフルタイムで働いているパートナーから家事の協力を得られなくなったというケースも見られます。時短勤務であっても共働きであること、家事を一人ですべてこなすことは難しいことをパートナーとよく話し合っておくことも重要なポイントです。

時短勤務の転職を成功させるためには?

今の職場では時短勤務で働くことは難しいと考えている人も多いでしょう。とはいうものの、時短勤務での正社員として転職することは決して簡単なことではありません。そこで、ここからは時短勤務で働きたい人が転職を成功させるためのポイントについて解説します。

まずするべきことは、現在の職場での問題点を整理することです。任されている仕事量が多すぎて時間内に終えることができない、家事や育児の負担が重過ぎるなど、転職を考えるようになったからには何らかの問題が発生していることでしょう。そうした問題は本当に現職のままでは解決できないことなのかどうか、よく考えてみることが大切です。転職を決める前に、まずは職場の上司や同僚、パートナーに相談してみましょう。そうすることで、転職しなくても問題が解決する可能性もあります。今の職場を離れて転職すると決断するのは、それが不可能だと分かってからでも決して遅くはありません。

もしそれでも問題が解決せず、やはり転職するしかないというのであれば、そのときは自分の強みやできることは何かを考えてみましょう。なぜなら、時短勤務の正社員は即戦力としての人材が求められていることが大半だからです。自分の強みをしっかりアピールできなければ、いつまでたっても転職先が見つからないことにもなりかねません。加えて現在の業務で生産性を上げるために工夫していることがあれば、そのことを面接の際存分にアピールすることが大切です。

次に、転職する際の優先順位を明確にしておきましょう。これからの働き方をどうしたいのかをよく考えることが大切です。とにかく働く時間を減らしたいのか、それともより負担の少ない仕事内容がよいのかによって希望する職種や勤務先は変わってきます。また、どれくらい収入が減ってもよいと思っているのかも大事なポイントです。すべての希望を満たすような転職先はなかなか見つからないかもしれません。だからこそ、一番重要視しているポイントは何なのか、どの部分は妥協することができるのかを明確にしておきましょう。

また、転職活動に期限を設けることも大切です。職種や業務によっては年齢制限があるかもしれません。また、時短勤務制度が適用になるのは子どもが3歳になるまでです。転職するのがくなってしまうと、せっかく時短勤務のために転職したのにほとんど制度が利用できない、ということもありえます。それだけでなく、転職活動が長期化すると家事や育児に支障が出てしまうこともあります。だらだらと転職活動を続けるよりも、いくらかの期限を設けておいた方が安心です。

さらに、転職活動を行う上で重要なポイントは、パートナーとよく話し合うことです。夫婦のどちらかが転職するということは、ライフスタイルが変わってしまうということもあります。パートナーの理解を得ないまま転職活動をしても、転職が決まってから反対されるかもしれません。パートナーに転職したい理由や転職することで得られるメリットについてよく説明し、あらかじめ理解を得ておくようにしましょう。

時短勤務後のキャリアアッププランについても考えておこう!

時短勤務で働くことを選んだ場合、どうしてもキャリアアップは難しくなります。会社の側からすれば、時短勤務の社員に責任のある仕事は任せづらいからです。とはいうものの、時短勤務の道を選んだからといってキャリアアップの道が途絶えてしまうわけではありません。時短勤務の利用を考えているのであれば、5年後や10年後にはその会社でどのような働き方をしていたいのかをしっかり考えておきましょう。

もしも時短勤務をしながらキャリアアップを目指すのであれば、将来挑戦したい仕事や働き方をしっかりイメージし、そのイメージから逆算して行動する必要があります。そのために計画的かつ効率的な行動を心がけましょう。たとえば、毎日の業務を細分化してフローにしたり、手順をマニュアル化するのもひとつの方法です。自分の仕事の優先順位を把握することでより効率的に時間を使えるようになるでしょう。また、こうした作業は自分の仕事の時間を短縮できるだけでなく、自分がいないときにほかの人に仕事の代わりを頼む際にも有効です。どの仕事が自分がしなければならないもので、どの仕事がそうでないのかを見極めることにつながるからです。そうして上手に仕事を人に任せられるようになれば、マネジメント能力を高く評価してもらえるでしょう。

また、時短勤務をしていてもキャリアアップをしたいと思っているということを同僚や上司に伝えておきましょう。実際、今はまだ子どもが幼くて色々と手がかかるとしても、いずれ子どもが今よりも成長すれば時間や気持ちに余裕が生まれます。もしもキャリアアップを目指すのであれば、時間と気持ちに余裕ができたときにまたバリバリ仕事ができるような環境をあらかじめ作っておくことが大切です。とりわけ時短勤務中は同僚や上司のサポートが必要不可欠です。スムーズに日々の仕事をこなすためにも積極的なコミュニケーションを心がけましょう。そうして同僚や上司と良好な関係を築いておくことがキャリアアップにつながります。

時短制度を活用して育児と仕事を両立させよう!

時短勤務制度を積極的に活用することで時間と気持ちに余裕ができます。まずは今いる職場で時短勤務制度を活用できないかどうかよく考えてみましょう。もしもそれが不可能なのであれば、転職するのもひとつの方法です。転職を成功させるためには、理想とする働き方やライフスタイルにおいて何を大切にしたいのかを明確にしておきましょう。

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