藪口あゆみさん|子育てを行う私のキャリアを本気で考えてくれる会社というパートナー

働き方の多様化がすすむ中、46.9%もの女性が出産を機に離職する現実があります。原因の一つとして挙げられるのは、柔軟な働き方を許容してくれる企業がまだまだ少ないこと。今回は出産を機に時短勤務を行いながらも、プロジェクトマネージャーとしてその任を果たしているITコンサルタントの薮口あゆみさんにお話をお伺いいたしました。薮口さんと、会社が実践している柔軟な考え方とは一体どのようなものでしょうか。

イメージだけに留まらない、復帰への着実な準備方法

コンサルタントの仕事が大好きで、「子供を産んだら辞める」ということは考えたこともありませんでした。そのため「どうしたら仕事と子育てをバランスよくできるか」を考え、事前に準備して産休期間に入りました。

準備として心がけたのは、復帰のスピードを緩やかなものにすること。やはり1年近く仕事を休んでいたので、私と子供の生活スタイルに合わせて、生活がどんなものになっていくのか、最初のうちは皆目検討がつかないだろうと思っていました。

私の仕事はコンサルタントとして、お客様の会社に常駐する体制が基本。育休から復帰したばかりの時は、社内での業務の方がお客さまにご迷惑をかけることなく調整ができるため、まずは社内プロジェクトにアサインを希望しました。こうして仕事と家庭の生活サイクルが確立してきた半年後、久しく離れていたお客様の会社に常駐する体制に加わる形となりました。

また、復帰の直前に、入園予定の園とは別の保育園で一時保育を使いました。自主的な慣らし保育をしたのも大切なステップでした。慣らしを使って、実際に会社に通う練習を行うなど、復帰に向けての心配事を減らして行くことができたため、スムーズに復職できたのではないかと思っています。

働く人に合わせて制度をつくっていく会社の文化

私の会社は比較的、個性を受け入れる風土が整っていると思います。人それぞれ、子育てに限らず、介護とか、いろいろな制約を持っていることは現代では少なくありません。そうした状況でいかに自分の価値を発揮できるかに重点を置いています。もともと、制度ファーストで運用するのではなく「必要なタイミングで制度を作る」ことで、個人にとってベストな働き方を会社も一緒になって考えてくれるのは非常にありがたいものでした。

もともと、社内で時短勤務を利用している事例が過去に1例しかありませんでした。私のあとに育児休暇を取得した人の事例を見ても、人によって働き方は千差万別。フルタイムで復帰するケースや在宅での仕事から復帰をするケースもあります。またチームで仕事をすすめる中で、みんなで子育て中の人をカバーしようという気持ちでいてくれます。一方で、子育て中だからと特別扱いしたり過剰に配慮したりせず、ただ「4時半で帰る人」と扱ってくれることも、とてもありがたいです。最近では新卒で入ってくる女性社員も増えてきたので、私が時短で仕事を続けていることで、一つのロールモデルとなるキャリアケースをつくっていければと思っています。

仕事と家庭の両立は難しくない

私は仕事と家庭との両立は難しいとは思っていません。なぜなら私はルールを2つ決めているからです。一つ目は「子供が最優先」、もう一つは「家に仕事を持ち込まない」です。この2つはずっと徹底しています。

4時半に会社を出たら、パッと頭を切り替えてPCは絶対開かない。仕事の資料も持ち帰ることもありません。逆に仕事をしなくてはいけないときは、保育園を延長保育にし、仕事は会社で終わらせてから帰っています。家に帰ってからもバタバタで仕事をしている余裕がないというのが実際のところですが(笑)。

仲間とのコミュニケーションも大切にしたい

今まではプロジェクトマネージャーになるのが一つの目標でした。それが叶った今、これからの目標は、社内の活動をより活性化させることです。弊社のメンバーはそれぞれ別の会社でそれぞれのプロジェクトを担当しているので普段バラバラに働いているのですが、社内で情報交換したり、コミュニケーションをとる機会も非常に多いのです。

社内にもお酒も飲みながら打ち合わせできるカフェスペースがあって、水曜の夜はよくみんなでお酒を飲みながらざっくばらんに仕事のことからプライベートまでいろいろなことを話しています。他にも、様々なイベントやトレーニングを年中行っています。これまで私自身もいろいろ企画してきましたが、今後もトレーニングの講師をしたり、セミナーを企画したり、積極的に参加していきたいですね。社外のプロジェクトと並行するように社内での活動にも力を入れて、両方楽しみながら仕事を続けたいというのが私のこれからの目標です。

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