育休明けの転職は不利?ワーキングマザーが転職を成功させるポイントと注意点

子どもを出産してみると、それまでと同じように働くのは難しいと感じる女性は多いのではないでしょうか。職場の環境によっては転職を考える人も少なくはありません。しかし、育休後の転職は、それ以前とはさまざまな面で条件が変わってきます。勤務時間や雇用形態、育児に関する制度や給付金など、できるだけ有利な状況で転職をするのが得策です。そこで、この記事では育休明けに転職をするメリットやデメリット、ワーキングマザーが転職を成功させるために知っておきたいポイントや注意点などについて解説していきます。

育休明けに転職をするメリット・デメリット

はじめに知っておきたいのは、育休明けに転職をすることでどのようなメリットとデメリットがあるかということです。まず、メリットとしては、実際に仕事を再開して育児との両立がどれくらい負担になるか体験できることがあげられます。出産前は仕事だけでしたが、復職と同時に子どもを保育所まで送迎することが新たに加わります。時間の配分や勤務先と保育所の位置関係など、実際に続けることが可能かどうか判断しやすいでしょう。

育児については、家族の役割分担がどこまでできるかも体験できます。あらかじめ出産前に決めていたことが、実際にはその通りに実現するのは難しいかもしれません。または、予想以上に家族の協力が得られることもあります。さまざまな状況を考え、「転職すべきかどうか」「転職するならどのような環境の職場が適切か」をゆっくり判断できるのがメリットです。そして、もう一つのメリットは、就職したときよりも自分の条件に合った会社を探しやすいということでしょう。育休明けのタイミングに直結することではありませんが、社会人として一定のスキルを身につけた30歳前後であれば、就職事情は入社した当初とは変わっています。

中でも、2017年以降は「男女雇用機会均等法」でマタニティハラスメントの禁止やパワーハラスメントの防止措置義務など、女性が働きやすい法改正がいくつかされています。さらに、女性の社会参画に力を入れる企業が増えたことで、託児所つきの仕事が増えつつあるのも現状です。子どもを預けて働きやすい環境が整った職場選びがしやすいといえます。特に、入社時に育児の重要性を考えずに職場選びをしている場合、新しい生活スタイルに合った仕事を冷静に探すことができます。

一方、デメリットとして考えられるのは、必ずしも希望通りの雇用形態で働けるとは限らないことです。例えば、勤務時間や休みの取りやすさを優先した結果、非正規雇用の求人しか見つからないかもしれません。そうなれば、正規雇用として積み上げてきたキャリアが活かせなくなる可能性も出てきます。転職先の選び方を間違えてしまうと、仕事量はあまり変わらないのに収入が減少してしまうこともあります。さらに、退職のタイミング次第では保育所が利用できなくなるでしょう。保育所が転職という事情をくんでくれる場合でも、できるだけ早く次の仕事を探すことが求められます。

また、仕事が始まってからの転職は何かと時間が取りにくいのもデメリットです。日中は仕事があるうえに、退社後は家事と育児で思うように転職先を探すのは難しいかもしれません。そして、もう一つのデメリットは、新しい職場に慣れなければいけないことです。ただでさえ、育児が始まったばかりのうちは不慣れなことが多く、十分に眠れないこともあります。その中で新しい仕事を覚えるとなれば、さらに状況が悪化する可能性も考えておきましょう。

出産後に転職活動を始めるならいつからが適切?

子育ては、始まってみないと実際の大変さはわかりません。子どもによってどれくらい手がかかるかは生まれる前に予想できないうえに、パートナーの協力が十分得られない場合もあります。中には、出産後の体力が思うように回復しない人もいるでしょう。さまざまな理由から「このまま復職しても以前のように仕事をするのは難しいのでは」と消極的になり、育休中に退職や転職を考える人もいます。

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しかし、職場に復帰しないまま育休中に退職をするのは好ましいとはいえません。そもそも、育休とは同じ職場に復帰することを前提として取得できる制度です。そのため、たとえ育休中に自分が希望する勤務先が見つかっても、応募の段階でよい印象を持たれないでしょう。応募することは可能ですが、適切な転職理由を探すのは難しいものです。もしも育児が初めてでその後も出産を希望するなら、新しい職場でも育休を取得しなければなりません。ところが、「育休中に転職をした」という事実を新しい会社に知られれば、「うちに来ても育休中に退職されるかもしれない」と思われる可能性が高いといえます。

出産してから転職活動を行うなら、育休後にきちんと職場復帰を果たしてからが適切です。それは、対外的な面だけが理由ではありません。育児で不安になっているだけで、いざ職場に復帰してみると予想より働きやすいということもあり得るからです。実際に育児をしながら働いてみれば、どのような点が自分に合わないのか判断しやすくなります。結果としてそのままそこで働くのは難しいという回答につながったとしても、得るものは大きいといえるでしょう。

また、一度職場復帰してから退職を決めたということになれば、次の勤務先の応募理由にも信憑性が増します。たとえ育児との両立を理由にあげたとしても、「経験を通して当社を選んでくれた」と感じてもらいやすくなります。育児が始まるとそれまでとは生活が一変し、中にはネガティブな考えに偏る人もいるかもしれません。それでも、焦らずにまず元の職場に復帰し、育児と仕事の両立を体験してみることが大切です。それでもその職場では両立が難しいと感じたら、自分が求める条件を考え、それに合った転職先を探してみましょう。

育休明けにすぐ退職して就職活動を行うとどうなる?

さまざまな観点から考え、どうしても元の職場への復帰が難しいと判断する人もいるでしょう。育休の消化とともに退職し、それからじっくり就職活動を始める人もいるかもしれません。その場合、どのようなことが想定されるか解説していきます。まず、育児休業給付金については、もとに職場に復帰しなくても育休を消化していれば返還する必要はないとされています。そのため、それまでに受け取った育児休業給付金を返す心配はありません。

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ただし、保育所や保育園がすでに決まっているなら、退職と同時に入所できなくなる恐れが出てきます。保育所や保育園は、両親がともに働いているなど日中面倒を見る保護者がいないことを条件に利用できる施設です。つまり、母親が退職をした時点で「日中世話をする保護者がいる」と判断され、そのまま入所することは通常できません。実際の判断は各自治体によりますが、仕事を持たない状態での利用はできないと考えたほうがいいでしょう。

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子どもを日中預けることができないと、就職活動に十分な時間が取れないかもしれません。求人を探すのはパソコンやスマートフォンが主流ですし、子どもの世話をしながらでも可能な部分はあります。しかし、面接のときは誰かに子どもを見てもらう必要性が出てきます。近くに協力者がいないと、就職活動がなかなか進まないこともあるでしょう。育休明けにすぐ退職して就職活動をするなら、まず子どもを見てくれる協力者を探しておくことです。ただし、仕事にあてる筈だった時間を就職活動に費やせるという利点もあります。

また、退職すれば本来得られる筈だった収入がなくなることも考えておかなければなりません。勤務先によっては退職金や財形貯蓄などまとまったお金を受け取れますが、継続的な収入は断たれることになります。さらに、育休中の女性が把握しておきたいのは失業手当ての受給条件です。ハローワークのWebサイトでは、失業手当の受給条件として「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない失業の状態にあること(ハローワークWebサイトより引用)」をあげています。

問題なのは「いつでも就職できる能力があるにもかかわらず」という部分で、ハローワークでは妊娠中や育児中の女性はただちに就職できないと判断されます。したがって、退職しても通常のようなタイミングで失業手当を受けることはできません。育児中の場合は、まずハローワークに受給期間延長申請を行っておけば、育児が一段落した時点で就職活動を開始すれば失業手当を受給できます。失業手当の受給期間は、最長で3年間の延長が可能です。

育休をきっかけに転職をする際に注意しておきたいこと

育休をきっかけに転職を検討する際、注意しておきたいのは退職のタイミングです。タイミング次第では育児休業給付金が受給できなくなるため、十分注意しましょう。育児休業給付金は原則として子どもが1歳を迎える前日まで受給でき、育休によって会社から一定以上の給与が出ないときも安心して育児に専念できます。育児休業給付金は、男女に関係なく育休を取得していれば受給の対象ですが、同じ職場に復帰するのが条件です。そのため、退職した時点で受給資格を失うことになります。

また、退職のタイミングを育休明けにした場合も、育児休業給付金の受給対象から外れるため注意が必要です。たとえ育休自体はしっかり取ったとしても、育休に入る前にすでに退職の予定があれば同じ職場に復帰することはありません。つまり、それは受給条件を満たしていないということです。そのことを知らずに、早めに退職を決めてしまわないよう注意しましょう。

育児と仕事の両立を考えて転職をするなら、まず現時点での勤務先でどこまで育児に関する制度が使えるか確認することも大切です。特に、これまで育休を取得する人がいなかった会社の場合、単に前例がないだけということもあります。利用できる制度によっては、転職をせずに済むかもしれません。厚生労働省では、育児をしながら働きやすい環境作りのために、育休の他にも「子の看護休暇」や「 育児・介護のための所定外労働の制限」、「 育児のための所定労働時間短縮の措置」などさまざまな制度を設け、義務付けています。

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「子の看護休暇」とは子どもが病気やケガをして看護が必要なときに取得できる休暇のことです。未就学児を持つ親が対象で、子ども1人なら年間5日、2人以上なら年間10日まで休めます。「 育児・介護のための所定外労働の制限」は、3歳未満の子どもを持つ人が対象で、残業の免除を受けられます。「 育児のための所定労働時間短縮の措置」は、勤務時間を従来より短縮できる制度です。「 育児のための所定労働時間短縮の措置」も3歳に満たない子どもがいる従業員が対象で、働く時間を短縮して育児に専念できます。もちろん、転職先を選ぶときも育児しやすい制度がきちんと導入されているか確認を怠ってはいけません。

育休後の転職で失敗しないためのポイント

育児が始まると、仕事との両立に不安を感じる女性は多いものです。しかし、そのときの感情のままに退職を急いではいけません。育休後に転職を検討するなら、タイミングを考えることが大切です。育児をきっかけに転職をするときはまず自己分析を行い、育児が落ち着いた時期に実行するようにしましょう。転職で失敗しないためには、さまざまな観点から自分に合った転職先を探し、慌てず冷静に判断することが一番です。

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