育休中の転職は可能?事前に押さえたい注意点と転職を成功させるコツ

女性の社会進出が進む昨今では、産休・育休を取得する女性も増えてきました。育休が終わればまたもとの職場で働くケースが多いですが、中には勤務時間や勤務場所の問題で「育児と両立できないのではないか」と不安を感じるママも珍しくありません。自宅からあまり離れていない企業や、時短勤務できる企業などに転職したいと考えることもあるのではないでしょうか。そこで今回は、育休中に転職をしても問題ないのかという点を踏まえ、転職活動の流れや注意点など転職前に知っておきたいポイントについて解説していきます。

育休中に転職をしても良い?

育休中に転職をしたいと考えたとき、まず気になるのが「そもそも転職できるのか」という点です。育休は、育児のために一定期間の休業が認められ、健康保険などから給料の5~7割程度の給付金が支給される制度のこと。復職を前提とした制度であること、給付金が支払われていることなどから、育休中の勝手な転職は認められないのではないかと思われがちです。しかし、実際には育休中の転職について、法律などで制限があるわけではありません。育休中に転職したからといって違法性を問われる心配も、受け取った給付金を返還する義務もないのです。このため、子どもや自分自身のために必要だと感じれば、遠慮せず育休中の転職を考えましょう。

ただし、子どもを保育園に預ける予定の場合は注意が必要です。多くの保育園では、申込む際に「就労証明書」を提出し、入園後には「復職証明書」を提出しなければなりません。自治体によっては、就労証明書と復職証明書の勤務先が異なっていると保育園の入園許可が取り消されてしまう場合があるのです。子どもを保育園に預けられなくなれば、せっかく転職を成功させても満足に働けなくなるでしょう。このような事態を避けるためにも、保育園に預ける予定の場合は事前に自治体のルールを確認し、就労証明書と復職証明書の勤務先が違っていても問題ないかどうか確認しておくことが大切です。

育休中の転職で注意したい3つのポイント

育休中の転職は法律で制限されているものではなく、必要に応じて自己判断で行って良いものです。ただし、一般的な転職と比べると一定のリスクがある点には注意しなければなりません。育休中の転職でよくある3つの注意点を紹介するので、転職前に正しく理解しておきましょう。まず1つ目は、「育児休業給付金を受け取れなくなる」という点です。雇用保険に加入している人が育休を取得する場合、育休明けに同じ職場へ復職することを前提として、育休開始日から180日目までは育休を取得する前の給料の約7割、181日目以降は約5割の給付金が支給されます。

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子どもを育てている間に収入が減っても経済的な負担が大きくならないよう、健康保険や雇用保険がカバーしてくれるわけです。給付金を受け取れる期間は原則子どもが1歳になる前日までですが、保育園に空きがないなど特別な条件を満たす場合は最長で2歳になる前日まで延長して受け取れます。ところが、育休中に転職をすると、それ以降は給付金を受け取ることができません。育休はもとの職場への復職を前提とした制度であるため、その職場を退職すれば支給対象から外れてしまうのです。転職して働き始めれば転職先の企業から給料を受け取れるものの、このように本来受け取れるはずだった給付金がストップされてしまう点には注意しましょう。

なお、前の職場を退職する時期により、受け取れる給付金の額は大きく変わります。退職する場合、退職日を含む支給単位期間の前の期間まで支給されるのが原則ですが、退職日が支給単位期間の末日であれば退職日を含む支給単位期間までの支給が可能です。たとえば、1月5日から育休に入っていた場合、支給単位はそれぞれ「1月5日~2月4日」「2月5日~3月4日」「3月5日~4月4日」となります。4月3日に退職すれば前の支給単位期間である2月5日~3月4日までの給付金しか受け取れませんが、末日の4月4日に退職すれば3月5日~4月4日の給付金まで受け取れるのです。数日の差で1カ月分の給付金を受け取り損ねることもあるので、退職日をいつにするかしっかり検討しておきましょう。

2つ目の注意点は、「保育園に預けられなくなる可能性がある」という点です。保育園によっては親の収入で入園の優先順位をつけることがあり、就労証明書や復職証明書を提出させて収入や働いているかどうかを確認するケースも珍しくありません。転職先を決める前に退職した場合、これらの書類を提出できず「働いていないなら自宅で育児ができるのでは」と判断され、保育園になかなか入園できなくなる可能性もあります。また、上述したように就労証明書や復職証明書の勤務先などが異なると、入園を認めてもらえなかったり、内定を取り消されるなどのトラブルになったりするケースもあるため事前確認が欠かせません。

3つ目は、「希望した働き方ができない」という注意点です。育児のために時短勤務やフレックスタイムで働きたいと思っても、転職後1年以上経つまでは時短勤務などを認めない企業も少なくありません。有給休暇や「子の看護休暇」も、働き始めて6カ月以上経たないと付与されないことが多いです。子どもは小さいほど育児に手がかかるため、時短勤務や休暇が取りにくいと困ってしまうでしょう。時短勤務などを目当てに転職するのであれば、希望する働き方ができるかどうか慎重に見極めて転職先を選ぶ必要があります。もし、現在の職場が産休や育休を取りやすい環境だったり、時短勤務など育児に役立つ制度があったりするなら、無理に転職せずこのまま復職するという選択肢も考えてみると良いでしょう。

育休中に転職する場合のスケジュール

実家などに子どもを預けられない場合、再び働くためにはまず子どもを預ける保育園を見つけなければなりません。せっかく転職を成功させても、子どもの預け先がなければ働くどころではないでしょう。転職活動は保育園への入所手続きと同時並行で進めることになるため、計画的な行動が必要です。まずは、保育園に預ける予定の1年前の春から夏にかけて、保育園選びをするところからスタートします。料金の安い認可保育園は人気が高く、募集が始まってすぐに定員に達してしまうことも珍しくないので、早めの情報収集が欠かせません。認可外保育園も含め、いくつか候補を挙げておきましょう。園によっては、事前に予約金などを払って枠を押さえられる場合もあります。

秋頃になると、現在の職場から就労証明書を発行してもらい、保育園への申込手続きを行います。すでに退職予定を伝えている場合は就労証明書を発行してもらえないこともあるので、入園手続きを終えるまでは黙っておいたほうが無難です。就労証明書が手に入らないときは早めに転職し、転職先の企業から「内定証明書」を発行してもらう方法もあります。1月から2月頃になると保育園の入園可否の通知書が届くので、その結果を見て転職活動を始めましょう。転職先が決まるまでは数カ月かかるケースも多いため、応募企業を絞り込んだり履歴書を作成したりするなど、できることから早めに行動しておくのがおすすめです。また、子どもの入園と同時に働き始められるよう、面談などの際に入社希望日も忘れずに伝えておきましょう。

転職先や転職先への入社日が確定したら、現在の職場に退職する旨を伝えます。引き継ぎや人事異動などの兼ね合いもあるため、遅くとも当初の復職予定日の1カ月前までには退職を申し出るようにしましょう。もしも復職予定日までに転職先が決まらなければ、とりあえずもとの職場に復職し、本当に転職が必要かどうか見極めるというのもひとつの選択肢です。

転職を成功させるコツ

育休中の転職を成功させるには、いくつかコツがあります。まず、ワーキングマザーに理解のある転職先を厳選すること。子どもが小さいうちは、頻繁に体調を崩したりお世話に手がかかったりすることが多いです。加えて保育園の行事などもあり、どうしても早退や欠勤を繰り返してしまう場合もあるでしょう。いくら給料が良くても、このような事態に理解がない企業に転職すると嫌な顔をされ、人間関係もうまくいかずに結局退職せざるを得なくなるかもしれません。ワーキングマザーが多い企業や時短勤務・フレックスタイムを導入している企業など、育児に理解を持ってくれているところを選ぶことが大切です。

また、転職する場合は多くの企業で履歴書や職務経歴書を提出しなければなりません。一般的な転職と同じく、応募先の企業に効果的なアピールができるよう、内容には注意しましょう。自己分析をしっかりと行うのはもちろん、育児と両立させたい場合は志望動機にも工夫が必要です。育休中の転職活動は企業からネガティブな印象を持たれてしまう可能性があるため、「なぜ今のタイミングで転職活動をする必要があったのか」を効果的に伝えるようにしましょう。育休中であることを黙ったまま転職活動しても良いですが、入社後に発覚するとトラブルになる恐れもあります。

「復職後のポジションが育休前とかなり変わってしまった」「配偶者の単身赴任が決まり、これまでの業務量で一人で育児をするのが難しくなった」のように、育休中の転職活動がやむを得ないと感じさせる内容にしましょう。ただし、伝え方によっては「楽な業務をしたいのか」「前の職場の悪口を言っている」と捉えられる可能性もあるので、前の職場への感謝をにじませつつ、内容に配慮するのがポイントです。

さらに、ワーキングマザー向けの転職エージェントを活用するのもおすすめです。転職エージェントとは、専属のコンサルタントがつくなどして、転職活動に関するさまざまなサポートを行ってくれるサービスのこと。カウンセリングを通して希望に合う最適な企業を提案する、応募書類の添削やアドバイスを行う、模擬面接を通して効果的なアピール方法をレクチャーするなど、非常に役立つサポートを受けられます。自分ひとりで転職活動をする場合と比べ、希望に合う企業から内定を勝ち取れる可能性を大きく高められるでしょう。

転職エージェントは数多く存在しますが、それぞれ第二新卒や医療系など得意分野は異なります。効率的に転職を成功させたいなら、ワーキングマザーに特化した転職エージェントを利用するのがおすすめです。サービスによっては有料のものもありますが、基本的なサービスは無料で利用できることが多いので積極的に登録してみましょう。

現在の勤務先から円満に退職するには?

育休は復職を前提とした制度であるため、育休中に退職を申し出るのは申し訳ないと感じる人も多いでしょう。しかし、自分や子どものためにより良い環境へ転職するのは、決して悪いことではありません。退職を申し出る際は、職場への感謝も伝えながらできるだけ円満に手続きができるよう配慮しましょう。円満退職のためには、まず退職を申し出る時期に注意が必要です。一般的な退職の場合は、遅くとも希望する退職日の1カ月前までに申し出るのがマナーとされていますが、育休中の場合は復職予定日に合わせて早くから配置が決まることもあるため早く申し出たほうが良いでしょう。

特に新年度など区切りの良いタイミングで復職する予定の場合、自分だけでなく周囲の人事異動に影響する可能性もあるので早めの退職申し出がおすすめです。また、退職の理由にも配慮しましょう。仮に職場への不満がもとで転職する場合でも、どうせ最後だからと正直に伝えるのは厳禁です。ただでさえ育休中の退職は好意的に受け取られないのに、否定的な退職理由を伝えられると職場の印象は非常に悪くなってしまいます。転職先の企業が同じ業種の場合など、もとの職場と関わる可能性もゼロではないので、波風を立てずに退職したほうが無難です。

育休を取らせてくれたことや復職を待ってくれたことに感謝を述べつつ、やむを得ない事情で退職する旨を丁寧に伝えるようにしましょう。引き継ぎなどでどうしてもしばらく出勤してほしいと言われたら、転職先へ相談して入社日を伸ばしてもらうなど、可能な限り対応するなど誠意を見せるのも効果的です。

育休中の転職は可能!注意点を押さえて後悔しない転職を

育休中の転職は法律の制限などもなく、自分の意思で行うことができます。ただし、保育園の入園関係や育児休業給付金の打ち切りなど、注意点もあるので事前に正しく理解することが大切です。勤務条件などの面で内定を得るハードルも高いため、ワーキングマザー向けの転職エージェントを利用するなどして効率的に転職活動を進めていきましょう。

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